週末レシピ 忙しくてもアレンジで美味、豚汁三段活用
寒さが一段と厳しくなると汁ものが恋しくなる。中でも豚汁は根菜類がおいしくなる季節でもあり、無性に食べたくなるものの一つ。
具だくさんの豚汁は野菜と動物性・植物性たんぱく質がバランスよくとれるので、これとご飯と漬け物だけでもじゅうぶんに満足できる一食となる。週末に平日の分もまとめて作っておくと非常に便利だ。
ただし、料理の教科書通りに作るとなると下処理が必要なものも多く、若干面倒くさい。そこで今回は簡単にできるように素材選びから考え、作る工程もかなりシンプルにしてみた。さっそくレシピを紹介しよう。
<材料:10~12食分>
豚バラ肉薄切り 200~250グラム / ダイコン 200グラム / ニンジン 小さめ1本 / ゴボウ 1本 / タマネギ 1個 / アク抜き済みこんにゃく 1枚 / 油揚げ 2~3枚 / 水 1リットル / 塩 少々 / みりん 大さじ3杯 / みそ 大さじ10~12杯
(1)ゴボウを軽く洗い、5ミリ程度の厚さに斜めにスライスし、水にさらしておく
(2)ダイコン、ニンジンは普段皮をむいて使う人は皮をむき、皮付きのままの人は皮付きのまま、5ミリ程度の厚さにそれぞれいちょう切り・半月切りにする
(3)タマネギは皮をむいた後に半分に切り、5ミリ程度にスライスする
(4)こんにゃく、油揚げは食べやすい大きさにカットしておく
(5)豚肉も食べやすい大きさにカットして、軽く塩で味付けする
(6)鍋に水、ニンジンとゴボウを入れ、火にかける。煮立ってきたら、ダイコンを入れる
(7)煮立ったらさらにタマネギと豚肉、こんにゃく、みりんを入れる。アクが出てきたらすくう
(8)油揚げを入れ1~2分火を通し火を止め、半量のみそを入れてとく
(9)冷まして鍋ごと、あるいは密閉容器に移して冷蔵庫に入れる
(1)作り置きの大鍋あるいは密閉容器からスープを少なめに食べるぶんだけ小鍋に移す(あるいは電子レンジOKの器に入れる)。水を少々加えて、火にかける(電子レンジで温める)。
(2)煮立ったら、みそを人数分×大さじ2分の1杯加え、といてできあがり。
以上である。要は「豚汁ベース」をまとめて作っておいて、後日食べる分だけ直前に仕上げるという作戦だ。味がしみ込みやすいように半量のみそをベースに入れ、食べる直前に香りが引き立つようにまた半量を入れる。冷蔵庫に入れることを考えて水分は少なめに作り、食べる直前に水を入れて仕上げるというわけだ。 簡単に作るためには2つのポイントがあり、一つは「素材選び」で、もう一つは「素材と手順の大幅カット」。それぞれについて解説しよう。
(1)こんにゃく:こんにゃくは本来、ゆでてからそのお湯を捨てて「アク抜き」(こんにゃくイモに含まれるシュウ酸カルシウムや凝固剤の石灰を取り除く)をする。が、スーパーでは「アク抜き済みこんにゃく」も売られているので、こちらを選択しよう。
(2)ゴボウ:ゴボウには「泥付きゴボウ」と「洗いゴボウ」がある。洗いゴボウはその名の通り泥を洗った状態のもの。泥付きのほうが風味も日持ちもいいので、手間がかかってもいい人は泥付きを。泥を落としたり、そのために汚れたシンクを洗ったりする手間を省きたい人は洗いゴボウが便利。
(3)油揚げ:油揚げはザルに乗せて熱湯をかけるなど「油抜き」が必要とされてきた。昔は質のよくない油を使っており、この下処理が必要であったが、最近では良質の油を使っているので必要ないとの話もある。「刻み油揚げ」はカット済みの状態で売られているもので、これを油抜きせずにそのまま鍋に投入するのがいちばん簡単。ダイエットの観点から「やはり油抜きしたい」という人には油抜き済みのものも売られているので、それをカットして使おう。
この3つの素材をすでに下処理済みのものを購入するだけでも、だいぶ料理の手順は減ってラクになる。このレシピではさらに「本来入れることの多い素材」と「手順」も以下のように省略した。
(1)いためない:豚汁は本来、豚肉と野菜をゴマ油でいためてから水を入れて作る。が、豚のバラ肉の脂肪分で十分にコクがあるので、この手順をカット。
(2)だしを入れない:豚肉や野菜からおいしいだしが出るので、あえて入れないことに。だしを加えたい人は小鍋に移して仕上げる際に、いつもみそ汁を作るときに使うだしを入れるとよい。
(3)イモ類は入れない:豚汁にはサトイモやジャガイモが入っていることが多いが、皮をむくのが大変なのと煮崩れしやすいので、省略した。どうしても入れたいなら加えるのもよし。
入れる素材は省けばそれだけ手間も減るが、「具だくさん」が魅力の豚汁なので、あまり減らし過ぎないように。最近はカット済みのエノキダケやシメジなどもスーパーで売られているので、そういうものを加えるという手もある。
また、育った家庭・地方によって「これだけはなくちゃダメ」という素材もあるだろうから、そういうものはどんどん加えて自分だけの「オリジナル豚汁ベース」を完成させるもよし。
食べる際には、長ネギの小口切りや七味トウガラシ、ユズゴショウ、おろしショウガなどをお好みで加えよう。薬味もちょっとずつ変化をつければ、毎日食べても飽きない(はず)。
また、この作り置きを利用して、アレンジ料理もできる。以下はライターの私が締め切り前で食事を作る時間がないときによくやっていた「豚汁3段活用」である(分量はいずれも1人前)。
(1)作り置きのベースから1人分だけ小鍋に移し、水を加える
(2)煮立ったら冷凍のうどんかそばを加え、再沸騰したら味噌を大さじ2分の1杯としょうゆ少々を加える
(3)器に盛り、上記の薬味のいずれかをトッピングする
(1)豚汁うどん同様、作り置きのベースから1人分を小鍋に移し、水を加える
(2)煮立ったら冷凍うどんを加え、再沸騰したらキムチを適宜加えて、できあがり
(1)上記同様、作り置きのベースから1人分を小鍋に移し、水を加える
(2)煮立ったらカレーのルー、キューブ1個分加える
(3)冷凍うどんを加え、再沸騰したら火を止める
(4)パック状のだしの袋を破って粉末のダシとしょうゆ少々を入れてよくかきまぜ(なければ「めんつゆ」をひとまわし)、器に盛ってできあがり
そのまま食べてよし、アレンジしてまたウマし。この週末にまとめて作ってみてはいかがだろうか。ただし、作り置きといえども3~4日で食べ切るようにはしたい。
(ライター 柏木珠希)
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