都市部で農業ブーム 法改正が追い風、流通に変化も

農業全体にも影響がありそうです。野村アグリプランニング&アドバイザリーの佐藤光泰調査部長によると、都市部の農業は面積こそ全体の2%程度ですが、販売金額は10%程度を占めています。消費地に近く、利幅の大きい作物の栽培が主流のためです。「市民農園の利用者には自分の作物を売ってみたい人も多い」(佐藤氏)といいます。個人が少量の作物を直接販売するなど、流通に変化が生じる可能性があります。

都市農業を始める注意点は何でしょう。日本総研の三輪氏は「市街地での農業は害虫の駆除や農薬の使い方など気をつけるべき点が多いので、技術をしっかり習得してほしい」と話しています。

佐藤光泰・野村アグリプランニング&アドバイザリー調査部長「個人間の取引にも拡大余地」

都市農業の将来について、野村アグリプランニング&アドバイザリーの佐藤光泰調査部長に聞きました。

――都市農業の現状はどうですか。

佐藤光泰・野村アグリプランニング&アドバイザリー調査部長

「都市農業の面積は日本全体の2%程度だが、農家の戸数や販売金額は全体の10%程度を占めており、意外とシェアは大きい。このうち生産緑地はJR山手線の内側面積の2倍弱にあたる規模だ。2022年に生産緑地への税制優遇の期限が切れることから、一斉に自治体へ買い取りの申し出がなされる懸念があった。厳しい財政状況にある自治体もある中で大規模な買い取りは現実的でない。このため政府は生産緑地の所有者が農地を貸し出しても相続税などの軽減を受けられる制度を、法改正を経て9月から始めた」

――制度の変更で何が変わりますか。

「農地の所有者にとっても、近隣住民や企業にとっても選択肢が増えるだろう。まず所有者は農地を第三者に貸し出すことで、市民農園など多くの利用者に農地を開放するビジネスを始めやすくなる。一方、都市部に住む個人も居住地に近い場所で農業を始めやすくなる。企業も本社や事業所が多い都市部で農業を試してみたいというニーズを持っており、チャンスが広がるだろう」

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