他船との情報交換で揺れを軽減

大内船長が航海中に一番重視しているのが「揺れを軽減すること」。新造船では制御技術も進歩していますが、やはり最後はマニュアル操船。同じ航路の姉妹船「あざれあ」と擦れ違うときに情報を交換して、「〇〇の海域はイカ釣り漁船が多いですよ」と報告を受けると早めにかじを切って揺れを軽減するそうです。気象や海域の状況についても情報交換をして、予想と実況の差を埋めるとのこと。定期航路のよさですね。

操舵室(ブリッジ)で操船する大内船長。美しいブルーの色使いが印象的

フェリーは、物資を運ぶ重要な公共交通機関でもあります。モーダルシフト(CO2削減に向け、トラックから鉄道や船に運送手段を転換すること)の促進によってフェリーの貨物量は増加しています。新造船では高速化(航海時間短縮)によって、より遠くの地域からより多くの物資を運べるようになったそうです。それに伴って、トラックのドライバー専用の部屋を完全個室(テレビ付き)にしたり、専用の食堂や風呂を備えたりするなど、ドライバーがしっかり休息を取れるように工夫されています。これは物流業界の「働き方改革」にもつながります。

実際にこのフェリーで何を運んでいるか聞いてみたら、新潟から小樽へは日用品を、小樽から新潟へは北海道産の農産物(ジャガイモ、トウモロコシなど)や畜産物を運んでいるそうです。フェリーの売り上げの7割は貨物、3割が旅客。車両甲板には、トラック150台、乗用車22台が乗れるそうです。

さらに災害時には、多くの人や車両、そして救援物資を運び、ホテルシップとして活用されるなど、社会的に大きな役割も担っています。

津田千枝
 大手外資系通信社にて、海外広報コンサルティングと営業を担当。総合旅行業務取扱管理者。小型船舶免許を保有、趣味はピアノと旅行。「高祖父の津田弘道は明治政府に任命され、日本最初の世界周遊海外視察に派遣されました。グローバルな旅への憧れは高祖父譲りかもしれません」