街乗りからオフロードまで オトナの125ccバイク5選

縮小傾向が続く国内二輪市場。その中で期待されているのが125ccクラスのバイクやスクーターだ。「通勤や買い物に便利 オトナの125ccスクーター4選」で取り上げたように2018年7月11日に道路交通法の施行規則が改正され、必要な技能教習が最短2日間で修了可能となったことで注目が集まった。今回は大人のための遊び心あふれる125ccの5モデルを紹介しよう。
日本における原付き二種というと、通勤通学や買い物に便利なスクーターのイメージが強いが、今年になってホンダを筆頭にマニュアルトランスミッションを採用する嗜好性の高いモデルが相次いで登場している。
これはインドや東南アジアの各国が世界の二輪車市場をリードしているという事情も大きく関係している。東南アジアの二輪車は250cc以下の小排気量クラスが主流だからだ。国内外の二輪メーカーはこれらの国々の市場を見据え、小排気量エンジンを搭載するいわゆる「世界戦略車」を続々と登場させているのだ。
原付き二種の長所は軽二輪車(126~250cc)や小型二輪車(251cc以上)に比べ、免許取得費用や自動車税、保険料などの維持費が格段に安くて経済的でありながら、バイク本来の軽快な走行性能も堪能できることである。経済的という意味では原付き一種はさらに上をいくが、エンジンパワーが乏しく、30km/hの法定最高速度や二段階右折といった制約にもしばられるため機動力は大きく劣る。
原付き二種は自動車専用道路や高速道路を走行できないところは弱点だが、エンジンパワーがほどほで車体が軽いため扱いやすい。そして燃費にも優れる。現在はフルカウル(風防)付きの本格的なロードスポーツモデルからダート走行が楽しめるモデルまで、バリエーションも多彩。バイクライフの入門にはうってつけのクラスだ。

大きくなっても可愛らしさは変わらず
2017年に生産を終了し、惜しまれつつも50年に及ぶ長い歴史に幕を下ろした50ccバイク、モンキー。モンキー125はその後継車にあたる。
モンキーは現代のバイクとしては他に類を見ないほどコンパクトな車体が特徴だったが、このモンキー125ではホイールサイズが8インチから12インチになるなど、全体的にひと回りスケールアップしている。
というのもこのモンキー125はタイで生産され、東南アジアなどでも広く販売されている「グロム」をベースにしたものだからである。車格が上がったことで小動物のような愛嬌(あいきょう)はやや薄れてしまったが、タックロールタイプのシートやクロムメッキが施されたスチール製の前後フェンダー(泥よけ)、マフラーカバーなど、専用パーツをふんだんに使ってオリジナルのスタイリングをうまく再現している。
わざわざスイングアーム(後輪を支持する構造部材のこと)を専用設計し、リアサスペンションを古典的な2本ショック仕様にしたことで、グロムの「着せ替え」にとどまることなく、しっかりと個性を打ち出している。
オリジナルのモンキーはクルマの流れについていくのがやっというバイクだったが、こちらは街乗りからツーリングまで幅広いシチュエーションに対応できる十分な運動性能をもつ。
ブレーキは前後ともディスクブレーキで、フロントブレーキのみABS(アンチ・ロックブレーキ・システム)を装着したタイプも用意される。過去の名車を模したレトロなスタイルに近代的なメカニズムを組み合わせた「ネオレトロ」な製品は四輪だけはなく、二輪でも大きなトレンドとなっている。
サイズ:全長1710mm×全幅755mm×全高1030mm
シート高:775mm
タイヤサイズ:前120/80-12、後130/80-12
燃料タンク容量:5.6リットル
装備重量:105kg(107kg)
エンジン:124cc空冷4ストローク単気筒OHC2バルブ
最高出力:6.9Kw(9.4PS)/7000rpm
最大トルク:11Nm(1.1kgf・m)/5250rpm
燃料消費率:67.1km/L ※WMTCモード値 クラス1 1人乗車時
価格(税別):37万円(40万円)
※()内はABS付きモデル

オフロード遊びが楽しめる本格派
アプリリアは大排気量のスーパースポーツモデルからスクーターまで手掛けるイタリアの総合バイクメーカーである。RX125はこのクラス随一の本格的なデュアルパーパス(オンオフ兼用)モデル。
フロント21インチ、リア18インチのホイールとロングストロークの前後サスペンション、ABS(アンチロックブレーキシステム)を採用した大柄の車体に高回転高出力型の水冷式DOHC単気筒エンジンを搭載する。
税込み39万8000円という車体価格は内容を考えればかなりリーズナブルだが、これは生産を中国で行っているため。これまで欧州メーカーの小排気量スポーツモデルは国産モデルに比べて著しく価格が高いのが常だったが、近年はこのRX125のように生産拠点をアジアに切り替えることでかなり身近になった。
サイズ:全長2115mm×全幅820mm×全高1170mm
シート高:905mm
タイヤサイズ:前90/90-21、後120/80-18
燃料タンク容量:6.2リットル
車両重量:134kg
エンジン:124cc水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ
最高出力:11Kw(15PS)/10700rpm
最大トルク:11.3Nm/8000rpm
燃料消費率:非公開
価格(税込み):39万8000円

レーサー気分を日常的に味わえる
二輪ロードレースの最高峰クラスにあたるMotoGP(世界ロードレース選手権)を走るレーシングマシン「GSX-RR」譲りのアグレッシブなスタイルが人気の1台。
カウル(風防)で覆われた車体はハンドルポジションが低めの前傾姿勢を採用。高回転まで元気に回る水冷DOHCエンジンや、ギアチェンジを行うタイミングをランプの点灯で教えてくれるエンジンRPMインジケーター付きの液晶メーターなどを装備し、日常的な速度域でスポーティーなライディングが楽しめる。
また燃料タンク容量が11リットルとこのクラスにしてはかなり大きく、ロングツーリングにも対応する。雨天時などの低摩擦路でタイヤロックを防止し、安定したブレーキングが可能なABSを標準装備。
サイズ:全長2000mm×全幅700mm×全高1070mm
シート高:785mm
タイヤサイズ:前90/80-17、後130/70-17
燃料タンク容量:11リットル
装備重量:134kg
エンジン:124cc水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ
最高出力:11Kw(15PS)/10000rpm
最大トルク:11Nm/8000rpm
燃料消費率:44.7km/L ※WMTCモード値 クラス2、サブクラス2-1 1人乗車時
価格(税別):35万8000円

初代カブをモチーフにしたプレミアムな街乗りバイク
スーパーカブといえば、日本が世界に誇る実用車として60年にわたって支持され続けているモデル。しかし、このスーパーカブC125は1958年に登場したスーパーカブの初代モデル「C100」をモチーフにしつつ、実用車ではなく上質なシティーコミューターに仕立てられた一台だ。
初代カブを連想させる鳥の翼をイメージした形状のハンドルや小ぶりなリアキャリアを装備する一方、LEDの灯火類やデジタルメーター、アルミキャストホイールなどを採用することでモダンなテイストもプラス。
運転は従来のカブシリーズと同様にクラッチ操作が不要で、ペダルを踏み込むだけでギアチェンジが可能だ。さらにスーパーカブ50/110と比べて、変速時の振動や音も軽減され、上質な走行感を実現している。キーを持っているだけでイグニションのオン・オフやハンドルロック、シートのロック操作が可能な「Honda SMART Key」システムを標準装備する。
サイズ:全長1915mm×全幅720mm×全高1000mm
シート高:780mm
タイヤサイズ:前70/90-17、後80/90-17
燃料タンク容量:3.7リットル
車両重量:110kg
エンジン:124cc空冷4ストローク単気筒OHC2バルブ
最高出力:7.1Kw(9.7PS)/7500rpm
最大トルク:10Nm/5000rpm
燃料消費率:66.1km/L ※WMTCモード値 クラス1 1人乗車時
価格(税別):37万円

クラスを超えた「本気」の作り込み
世界でもっとも権威あるオフロードラリー競技、ダカールラリーにおいて17連覇という無敵の快進撃を続けるのがオーストリアのバイクメーカー、KTM。125 DUKEはそんな同社のエントリーモデルとして2011年に登場。2017年にフルモデルチェンジし、二代目へと進化している。
日本製125ccバイクとは一線を画すシャープで研ぎ澄まされたスタイリングが目を引くが、その中身もクラスを超えた作り込み。剛性の高いトレリスフレームと倒立式のフロントフォークを採用する車体に10000回転で15馬力を発揮する高回転高出力エンジン、ABS付きディスクブレーキ、LEDヘッドライト、さらには125ccクラスでは初採用となるカラーTFTディスプレーを搭載。
これはスピード、エンジン回転数、燃料残量などの情報を表示するほか、オプションで設定される「KTM MY RIDE」を使ってスマートフォンとの連動が可能になるというもの。スリムな車体だが燃料タンクの容量は13.4リットルと大きい。
サイズ:非公開
シート高:830mm
タイヤサイズ:前110/70-17、後150/60-17
燃料タンク容量:13.4リットル
乾燥重量:137kg
エンジン:125cc水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ
最高出力:11Kw(15PS)/10000rpm
最大トルク:12Nm/7500rpm
燃料消費率:非公開
価格(税込み):51万円
(ライター 佐藤旅宇)
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