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モデルなき作曲家の道 望月京氏支えた「何とかなる」 作曲家・望月京氏が語る(下)

2018/11/5

悩みつつも前に進んだ。

ずっと「ここが自分の場所なのだろうか」と悩んでいましたが、思い詰めてしまうことはありませんでした。最後は「ま、何とかなるかな」というところに帰結するんです。青学の友人もみんな、「何とかなる」という根拠のない自信を持っている気がします。

ひとつには、独創的だった当時の初等部長(校長)の伊藤朗先生をはじめ、先生や生徒みんなが色とりどりという感じで、「こうじゃなきゃ」というのがない。いろんな人を「この人はこういう人」と面白がって受け入れていたことがあると思います。私も初等部のとき、みんなの前で自作を披露していました。今となってはよく恥ずかし気もなくやったなと思いますけれど、そういうのを奨励し、歓迎するムードがあったんですよね。友だちも素直に「すごいね」「こういうのが好きなんだね」と言ってくれました。中等部の先生がたものんびりひょうひょうとわが道をゆく、という感じで、そんなところからも「結局は何とかなる」と無意識に確信できたのかもしれません。

2007年からは明治学院大学芸術学科で教壇にも立つ

「世界、人間を分かりたい」が作曲の出発点。脳科学に触発された曲なども書いた。

これまで状況に流されながら、「あー、じゃそれでいいや」といいかげんに進んできただけなんですが、結果的には今一番興味があるとか、「やりたいな」「考えてみたいな」ということができている気がするんですね。「これでいいの?」と思いながらも後悔なく、今が充実して幸せだと思えるということは、身を任せたように感じつつ進んできたことも、実は自分自身のゆるやかな選択だったといえるのかもしれません。

学校生活ではっきり記憶に残っているのは、先生とノートを通じて感じたことをやり取りしたり、海や山や船で宿泊体験したり。自分で主体的に経験したことばかりです。後付けかもしれませんが、青学では「自分を主体に持つ」ということを学んだのだと思います。

芸術も、基本的にはあくまで「私」が物事をどうみているのかという探求であり、「こういうのを書いたら売れるんじゃないか」というように、他者を主体として表現するものではないと考えています。今までこんな風に考えたことはなかったけれど、無意識に「主体は自分」ということが身についていたからこそ、芸術には批評的な部分がないといけない、と他の誰でもない自分自身の感覚を信頼する覚悟を決められたのかもしれません。

(ライター 高橋恵里)

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