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四川より辛くて美味? 毛沢東も愛した辛ウマ湖南料理

骨付山羊肉を使った「香辣里」の香り野菜が特徴的な料理 この料理のほか様々な料理に使う発酵トウガラシは自家製

一方、香り野菜の使い方が特徴的な料理として紹介してもらったのは、山羊肉料理。とろとろになるまでゆでた皮つきの山羊肉をかりっと揚げ、みじん切りにした様々な香味野菜をのせた一品だ。発酵トウガラシをはじめ、生トウガラシ、ラッキョウなどをトッピング。仕上げにレモングラスのような香りの木姜子(ムージャンズ、ヤマコショウ)で香りづけをしている。

箸でほろっとほぐれるほど軟らかい肉を口にすると、こうばしさと共に野菜の複雑な香りが鼻をくすぐる。ダイズを発酵させた調味料、豆鼓(トウチ)も使われているためか、ほんのりとした甘味も。豆鼓は黒豆を使ったものがよく知られるが湖南では黄豆を用いる。山羊肉は臭みが強いと思っていたのだが、同店で使用していたオーストラリア産の肉はむしろあっさりと優しい味わいだ。現地では、この料理にたっぷりミントをのせて食べたりもするらしい。

ミントは湖南では最もポピュラーな香り野菜の一つで、ビーフン屋といった軽食店にも客が自由にトッピングできるよう置いてあったりするという。3つめの特徴である薫製食材を使った料理としては薫製豚バラ肉のチャーハンが出てきたが、これも現地ではミントやドクダミが入っているものもあるといい、小林さんが「湖南料理は『ハーブ中華』なんです」と言うのも納得。

「香辣里炒飯」 ジャスミンライスを使った薫製豚バラ肉のチャーハンだ

チャーハンはトウガラシ料理ではなく、「老油(ラオユー)」というたまりじょうゆを使った薄茶色のコメ料理で、これが湖南の定番チャーハン。薫製豚が香りや味わいに深みを加えていた。「ヤギ肉料理の香り野菜をチャーハンにのせて食べてもおいしいですよ」と言う小林さんの言葉に、思わずさらにご飯をほうばる。野菜の味わいやトウガラシの辛さが加わり、「もう一口」と後を引くおいしさだ。

トウガラシを使った中国料理というと汗をかきかきがっつり食べる男性的なイメージがあったが、同店のトウガラシ料理は辛みを感じても後味は爽やか。客の8割は女性というのもうなずける。初めて中国で湖南料理を食べたのは10年以上前。上海で食べたそれはとにかくトウガラシの量に驚いたものだが、辛さの向こうにある奥深さを初めて知った。気が付けば、都内にも湖南料理の店をちらほら見かけるようになっている。辛さを楽しむ料理の幅がまた一つ広がりそうだ。

(フリーライター メレンダ千春)


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