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ラグビー主将も東大へ 本郷高校、補習減で自主性育む 本郷中学・高等学校の佐久間昭浩校長に聞く

2018/10/21

「文武両道は譲れない」と話す本郷中学・高等学校の佐久間昭浩校長

水泳金メダリストの北島康介氏、「こち亀」で有名な漫画家の秋本治氏ら、個性的な人材を数多く輩出してきた本郷学園(東京都豊島区)。ここ数年は難関大学への進学指導にも力を入れ、2018年春の東大合格者は過去最多の17人を数える。伝統である「文武両道」の旗は降ろさず、「生徒の自主性をいかに引き出すかに知恵を絞ってきた成果」と佐久間昭浩校長は手応えを語る。

■「もう補習はやるな」新任校長の指示にショック

ほぼ1年前の17年11月5日。本郷高校は全国高校ラグビー大会の東京都予選準決勝で惜しくも敗退した。翌6日、校長室に報告に訪れたラグビー部主将の杉浦育実君は「今日からは気持ちを切り替え、第1志望の東大合格を目指します」と宣言。今年3月、見事に合格を果たした。「あの厳しい練習の日々からわずか3カ月。集中力のすごさには脱帽した」。佐久間氏は目を細める。

全国大会準優勝の実績もあるラグビー部をはじめ、同校はスポーツが盛んだ。過去にはデザイン科を設置した時期もあり、漫画家やデザイナーとして活躍する卒業生も多い。その伝統は今も引き継がれ、ほとんどの生徒が3年生までクラブや委員会活動に励む。一方で近年は進学実績も着実に伸ばし、今春は東大のほか、一橋大学や東京工業大学にも10人ずつ合格するなど躍進はめざましい。

「ここまでくるには、様々な試行錯誤があった」。佐久間氏は自身が教師として赴任してきた30年前を振り返る。同校はもともと「個性を尊重した教育を通して、国家有為の人材を育成する」という理念の下に設立され、実学に重きを置いてきた。ただ、大学進学率の高まりや保護者の要望もあり、1980年代後半から進学重視に転換。88年には中学校も再開し(新制本郷中学校は58年に募集停止)、中高一貫体制となった。

当初は進学に力を入れるといってもノウハウがない。「とにかく生徒に手をかけよう、面倒見をよくしようと、朝夕の補習などを充実させた」。保護者の評判もよくなった。しかし、時間や人手をかけている割には進学の実績が上がらない状況が続いた。

転機となったのは02年、外部から招いた高橋雄氏が校長に就任したことだ。「この学校の生徒たちは、幼いひな鳥のように、ただ口を開けて待っていれば親鳥がエサを持ってきてくれると思い込んでいる。もう授業を再放送するような補習はやらないでください」。厳しい言葉に、佐久間氏をはじめ教師たちは一様にショックを受けた。

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