役員になった女性たちは、どうステップアップしてきたのか。女性社員育成のヒントを探るべく、上場企業の女性役員に尋ねた。
「仕事の面白さ」意識を変える
回答者は社内外の役員を含み、平均年齢は54.5歳。社会人になった時点では結婚・出産・その両方のいずれかを機に「仕事を辞めるつもりだった」人が24.7%を占め、管理職になることも「特に考えていなかった」が62.3%、「(管理職に)昇進・昇格したい」と思っていた人は31.2%にとどまっていた。
変化が見られるのは管理職になった頃だ。「もっと昇進・昇格したい」と思った割合が42.2%に高まる。
意識を変えた人が挙げた理由の1つは「仕事の面白さ」。「仕事がとにかく面白く、ここまで来たならと上を目指したくなった」(監査役・60代)、「自分の努力次第で評価されることへの喜び」(社外取締役・50代)などだ。
「上位のポジションの方が自分の業務範囲・裁量が広がる」(執行役員・40代)との気づきもある。管理職経験を機に、より権限を持って仕事をしたいと昇進を意識し始めた人が目立つ。女性は仕事と家庭の両立のほか、自身を過小評価し昇格に慎重になりがちとされるが、社会に能力を還元する喜びを感じ「チャンスを生かそう」との考えに変わったといえそうだ。
では、どんな体験が飛躍をもたらしたのか。「成長を促した出来事」(複数回答)のトップ2は「取引先や顧客との交流」(53.9%)、「上司との交流」(50.6%)だった。
ただ一方で、何らかの難しい課題への挑戦を挙げた割合をみると、89.6%と約9割に達した。例えば「新規事業立ち上げ・新店開業・新戦略採用など」が44.8%、「高いノルマや目標の達成」も30.5%となった。
さらに「その他の課題への挑戦・困難な経験」(27.3%)として、「東日本大震災後の事業危機対応」(執行役員・50代)、「社運をかけたプロジェクトの成功や完了期間が限定されたプロジェクトの完遂」(同・50代)なども挙がった。