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次世代リーダーの転職学

会社員の56%「転職に前向き」 過熱する市場のリスク ミドル世代専門転職コンサルタント 黒田真行

2018/10/19

■採用企業が気にする3つのこと

働く側が転職に肯定的で、転職活動の積極性が高まっている一方で、受け入れる側はどう考えているのでしょうか。採用する企業側では、自社が求める人材に出会える可能性が上がることは歓迎しても、個々の候補者を見る際の尺度は大きく変化していません。より具体的に言うと、候補者の選考・スクリーニングにおいて、

●転職回数
●在職期間
●退職理由(ホンネは他責的な理由ではないのか?)

という観点をとても重視する企業は、以前と変わらず多い状況です。

●転職回数2回、現在の就業先が3社目、というのが上限。それ以上転職している人は書類段階で不採用(情報通信機器メーカー)
●在職期間が2年以内で2社以上転職を繰り返している人はNG(建築資材商社)
●あまり合理的な理由がない転職をしている人は信用できない。退職理由次第では見送り(クラウドサービス)

いくら人手不足でも、長く活躍してもらえる人材を厳選して採用したいという企業側の意向は根強くあります。求職者側の転職に対する価値観がポジティブになり、転職活動者数が増加したとしても、受け入れ側の選考基準が変わらなければ、マッチング総数が増えないばかりか、理想の転職が実現できなくなる人が増えてしまう可能性もあります。

転職市場が過熱しても採用側の基準は大きく変わらない。写真はイメージ=PIXTA

長引く人手不足の状況と働き方改革の推進で、特に20代や30代前半の若手層や有力ベンチャーなどで「給与水準が上昇した」企業、「働きやすさが改善した」企業の求人が増加しています。しかし、年収や勤務時間、オフィス環境など、外形的な条件に重きを置きすぎて転職を繰り返すと、30代後半以降になって採用の需要が減るのを目の当たりにしたときに、自分が思い描いたようなキャリアが構築できなくなるリスクも大きくなります。

また、有効求人倍率は景気と密接に連動しているので、たとえ少子高齢化による中長期の人手不足のトレンドがあったとしても、ひとたび景気が落ち込むと、一斉に採用の門戸は閉じられてしまいます。ちなみに10年前のリーマン・ショックの後には、月次ベースの求人広告件数が前年比マイナス50%以上という落ち込みが長期にわたって続き、求人広告業界や転職エージェントは大打撃を受けました。

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