準惑星ゴブリン発見 太陽系第9惑星を探る手がかりに

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/10/20
ナショナルジオグラフィック日本版

まだ存在が確認されていない第9惑星の想像図。新たに発見された2015 TG387を含む小さな天体の軌道に影響を与えていると想定されている(ILLUSTRATION BY CARNEGIE INSTITUTION FOR SCIENCE, DTM, ROBERTO MOLAR CANDANOSA/SCOTT SHEPPARD)

太陽系外縁部に、太陽の周りを1回公転するのに4万年かかる氷の準惑星が発見されたと、2018年10月2日に国際天文学連合の小惑星センターが発表した。準惑星は2015 TG387(愛称は「ゴブリン」)と名付けられた。太陽からの距離は最も近づいたときでもその距離は65天文単位(1天文単位は太陽から地球までの距離で約1億5000万キロ)。最も遠ざかると太陽からの距離は2300天文単位になる。極端に偏ったその軌道は、未知の第9惑星の存在を示しているかもしれないと専門家は考えている。

2015 TG387は球体と見られる。直径はおよそ290キロ。現在は北の空のうお座近くに位置し、太陽からの距離は約80天文単位。太陽から冥王星までの2倍である。彗星を除き、既知の太陽系の天体としては、太陽から最も遠くまで旅をする。

「このように、遠く離れた小さな天体が見つかるたびに、我々は第9惑星の発見に近づいています」。2015 TG387の発見者のひとりで、カーネギー研究所のスコット・シェパード氏は言う。論文は学術誌「The Astronomical Journal」に掲載される。

「ゴブリン」こと2015 TG38の軌道。右端の明るい点が太陽。彗星を除き、既知の太陽系の天体では、太陽から最も遠くまで離れる(ILLUSTRATION BY CARNEGIE INSTITUTION FOR SCIENCE, DTM, ROBERTO MOLAR CANDANOSA/SCOTT SHEPPARD)

3年がかりで軌道を割り出す

2015 TG387はその名の通り、2015年に初めて天文学者の注意を引いた天体だ。シェパード氏らは、世界屈指の大型望遠鏡を使い、長年太陽系外縁部を観測してきた。そして、太陽系のはるか彼方まで放り出されながらも、かろうじて太陽の引力につなぎ留められている天体を探して、大空をくまなく調べている。

この手の観測には、膨大な時間と忍耐を要する。小さな光の点を1個見つけたところで、詳しいことはわからない。無数に輝く星を背にゆっくりと移動する対象物を、辛抱強く追跡しなければならない。

「正確な軌道を納得のゆくまで割り出すのに、3年かかりました。ほかにも、この天体と似た距離にいくつか天体を見つけました。それらの軌道を計測し、さらなる調査に値するかどうか見極めるのに、あと1~2年はかかるでしょう」

今は比較的地球に近い位置にあるが、肉眼では確認できない。明るさは、冥王星の持つ小さな衛星と同程度の24等級だ。冥王星ですら、大きめの家庭用天体望遠鏡とある程度の経験がなければ見ることは難しい。シェパード氏は、2015 TG387の直径を約290キロと推定しているが、それも表面の反射率によって変わってくる。

第9惑星は地球よりはるかに大きい?

2015 TG387のほかにも、2003年に発見されたセドナや2012 VP113(愛称はバイデン)など、太陽からはるか遠く、海王星の軌道の外側で巨大な楕円形を描いて公転する天体が複数発見されている。

2015 TG387は、ほかの複数の天体と似たような軌道をたどっており、そこに何らかの共通する作用が働いている可能性がある。漆黒の太陽系外縁部に、ほかの小天体の軌道に影響を与える巨大惑星が隠れているのだろうか。

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