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白州の名水、スパークリング酒にリボーン 山梨銘醸 ぶらり日本酒蔵めぐり(5)

2018/10/17

北原さんは原料処理から瓶詰めまで、酒造りと向き合う

では、ブランドの統合の象徴を何に置いたのか。「やはり水です。白州の水がもつ透明感や清涼感、軟らかな質感を体現できる酒造りを目指しました」。北杜市白州地区にはサントリー「南アルプスの天然水」の採水地と工場もある。「日本で一番飲まれているミネラルウオーターで造った酒はアドバンテージになる」と亮庫さんは直感していた。

もちろん一朝一夕にうまくいくはずはない。コメや酵母、精米歩合などを変えながら試行錯誤した。「理想の酒を追求するうち、水を起点にして米や酵母、レシピを考えるとうまくいく、という感覚をつかみました」。2016年のことだという。それからは「白州の水を体現した酒造り」に拍車がかかる。

ブランドの統一感を重視し、銘柄を3分の1に絞った

白州の水は甲斐駒ヶ岳の伏流水だ。花崗岩(かこうがん)の層を浸透していて清涼感がある。ただ、同じ花崗岩層を浸透した「灘(神戸・西宮市)の宮水」は硬度が高いのに対し、白州は軟水だとされる。カルシウムとマグネシウムの含有量が低く、山梨銘醸の井戸でくむ仕込み水の硬度は「20~25(1リットル当たりミリグラム)くらい」だそうだ。

原料米の95%を地元産が占めるのも山梨銘醸の特徴だ。蔵のすぐ横に1000平方メートルほどの自社田があるほか、三十数軒の農家に酒米の栽培を委託している。亮庫さんはイネの育つ過程でしばしば田んぼを見に行くという。「コメの質は毎年違います。地元産であれば生育過程を知ることができ、いち早く生産計画などに反映できます」と利点を説明する。

蔵の隣にある自社田で酒米を栽培

原料米の品種は長野県農事試験場が開発した酒造好適米「ひとごこち」と愛知県生まれの「夢山水」。それぞれ生産性が高い、病気に強く山間地でもよく育つ、といった特性がある。酒にすると淡麗で爽やかな味わいになりやすいようで、白州の水の特徴にあったコメといえそうだ。

例えば、夢山水を使った「七賢 絹の味 純米大吟醸」はすっきりとした爽やかさが際立つ。大吟醸に特有のフルーティーな香りは立ちすぎず、料理の味を損なわない。といって、食中酒をうたう銘柄にありがちな重苦しさはない。しつこくない分、飲み続けられる。

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