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白州の名水、スパークリング酒にリボーン 山梨銘醸 ぶらり日本酒蔵めぐり(5)

2018/10/17

旧甲州街道に面した「七賢」の表玄関

「七賢」で知られる山梨銘醸(北原兵庫社長)は南アルプスのふもと、白州(山梨県北杜市)で約270年間、酒を醸してきた。その「七賢」が変身を遂げている。4年前、酒の質、品ぞろえ、売り方のすべてを変える大改革が始まった。「白州の名水」を単なるうたい文句に終わらせず、おいしい酒に昇華する戦いに挑んでいる。

9月29~30日の2日間、北杜市で「HOKUTO SAKE GURUGURU」というイベントが初めて催された。同市内には年間25万人が訪れるサントリー白州蒸留所をはじめ、地ビール「八ヶ岳ビール・タッチダウン」を醸造するブルワリー、「シャルマンワイン」のワイナリーなどが点在する。それらの施設に美術館などを加え、JR小淵沢駅を拠点にシャトルバスで巡る。

酒好きのための企画「SAKE GURUGURU」を仕掛けた北原亮庫さん

このイベントを仕掛けたのが山梨銘醸常務で杜氏(とうじ、醸造責任者)の北原亮庫さんだ。「北杜市にはウイスキー、ビール、ワインと酒好きの方が訪れたくなるような場所がそろっています。こうした資源を誘客に生かせば街がにぎやかになると考えました」。企画に参加するよう、それぞれの施設を口説いて回り、2日間合わせて5つのコースを設定した。

亮庫さんは北原家12代当主の次男として1984年に生まれ、20歳のときに酒造りの道を志した。大学在学中だった。「父から打診がありました。突然でした。この家系ですからサラリーマンはできないとしても、自分で何かやろうと漠然と考えていたので、ずいぶん悩みました」。しかし結局、家業の発展に協力を求める父親の意をくんだ。酒蔵レストランや酒米の栽培の開始といった、事業の転機を見据えての判断でもあった。御前酒を製造する辻本店(岡山県真庭市)での修業を経て実家に戻り、2014年に杜氏に就いた。そこから「七賢」の大改革が始まった。「実家に戻って専務の兄とまず、『七賢』をどうしていくか話し合いました。そこで4000石(一升瓶40万本)の蔵を目指そうということになりました」

山梨銘醸の生産能力は現在1万石だが、話し合った当時の出荷量は1700石(一升瓶17万本)だった。2倍以上を売るためにどうするか。「ターゲットを東京に絞りました。地元は現状維持でいい。海外よりも、東京の市場で納得してもらう商品作りを優先しました」。そのための第一歩がブランドイメージの統一だった。

売店「酒処大中屋」ではさまざまな「七賢」が試飲できる

「パッケージと値段設定を一新しました。それに味。好みは多種多様です。万人受けするよう種類を増やすとイメージがぼやけてしまいますから、造る種類を3分の1くらいに絞りました。ブランドの統一感を邪魔する要素をそぎ落としました」。山廃仕込みや熟成酒などが商品一覧から消えた。

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