印刷前の新聞紙、おむつ用名前スタンプ……。アマゾンには、店頭では見たこともない個性的な商品も並ぶ。意外な要素がユーザーの心をつかむ、超ニッチヒット商品の宝庫だ。
「特化型」需要に応える
まず目に付くのが店頭で主流、定番の商品に対して「逆張り」で特徴を際立たせた、「特化型ヒット」だ。例えばアマゾンで先行販売しているアサヒ飲料「おいしい水天然水ラベルレスボトル」は、商品パッケージからラベルを省いたことで人気を呼んだ。
ボトルには必要最低限の情報を記したタックシールのみが貼られており、従来品のように捨てるときに分離させる手間がない。原材料などはすべて梱包用の段ボールに表記した、ECならではの新発想だ。


サッポロビール「エビス4種セット」も、誕生日やちょっとしたお礼の「プチギフト」需要を捉えた。従来のビールギフトは本数が多く高額だ。あえて4本の1200円程度とし、父の日や誕生日など個人向けのギフトに活用できる。アマゾンでエビスビールのギフトセットが好調なことに着目し、目的を絞った限定商品として投入された。

柔軟剤ブームのなか、強い香りを放つ「香害(こうがい)」が社会問題化している─。そんな悩みを解決するのがファーファ「柔軟剤の香りがひきたつ無香料洗剤」だ。もともとは柔軟剤の香りを引き立たせる目的で開発された香りの薄い洗剤だが、香りが不要と感じるユーザーが「無香料」というキーワードで検索し、購入するケースが多いという。ファーファでは、同商品のヒットを受け10月に「Free& 香りのない洗剤」を発売する予定だ。

クチコミから着火
アマゾンでは、リアルな店舗に比べて、SNSやクチコミの影響をダイレクトに受ける。「インスタ映え」により、6月から3カ月連続で月間の最高売り上げを更新しているのが、通販限定のキリンビバレッジ「キリンのやわらか天然水」だ。
1箱(30本)に6種類のパッケージデザインが入っている。メーカー名や商品名を見えにくくしたところ、インスタへの投稿が増え、高評価のクチコミが相次いだ。310mLという絶妙な飲み切りサイズなのも便利だ。
