日本の夫たちは、子どもが生まれてもなかなかスムーズに「父親モード」になれないという話を聞く。なかには「ずーっと『パパスイッチ』が入らない!(怒)」という家庭もあるだろう。今回は筆者が取材したフランスの休暇制度から、夫の育児参画を促す対策を考えてみる。
日本のパパのスイッチはなかなか入らない?
夫が「父親」としての意識を持った(パパスイッチが入った)状況についてSNS(交流サイト)で問いかけたところ、ママたちから以下のようなコメントが続々と集まった。
「イクメンを自負していながらウンチのおむつ替えすら逃げ回っていたインチキイクメン。パパスイッチが入ったのは、素晴らしい先輩パパの経験談とその姿勢に触れたときでした。困ったのは、子どもが寝る時間に帰ってくること。なかなか寝かしつけができないので、その時間を避けて帰宅してほしいのに、全くお構いなし。気遣いのなさにイラッときました」
「産休・育休を取っていることが、休んでる=家事もできると捉えられていて、子育て(お風呂とかミルクとか『子育てしてる感』が強いところだけ)はやりたいけど、家事は手伝ってくれないという状況だった」
「うちのパパは、首がすわるまでパパスイッチが入りきらなかったですね。フニャフニャで怖かったのか、あえて仕事を忙しくして疲れきって帰ってきて、立って抱っこをしてくれませんでした。任せてと口では言っても結局泣き止まず。5分だけでも立って抱っこすれば泣き止むのに! とイライラしていました。俺は、ATM(現金自動預け払い機)になる! と自分で宣言して、自分で言うかって私が突っ込んでいました(苦笑)」
日本ではパパスイッチが入るまでに時間がかかることも少なくない。
男も2週間の産休を取るフランス
筆者が編集長を務める育児情報誌mikuでは2017年秋に、フランスに取材に行った。高崎順子さんの著書「フランスはどう少子化を克服したか」に「男を2週間で父親にする」という項目があったのがきっかけだ。フランスは合計特殊出生率1.93、日本は1.44(共に16年)だ。
フランスではママの入院中に、3日間の「出産有給休暇」制度がある。その後、11日間連続の「子どもの受け入れおよび父親休暇」に突入する。父親休暇中は8割の給与保証があり、休暇を雇用主が拒むことはできず、正しく運用しないと雇用主への罰則もある。
この2つの休暇を合わせた2週間が、一般的に「男の産休」と呼ばれている期間だ。これは02年に施行され、既に社会に浸透している制度。導入されたときも、世論の反対などは全く起こらなかったという。