昨年、世界的に「#MeToo」運動(セクシュアル・ハラスメント=セクハラや性的暴行の被害体験を告白・共有する運動)が起こり、今年に入ってからは、国内でセクハラやパワー・ハラスメント(パワハラ)などに関する「事件」が相次いでいます。妊婦に対する嫌がらせのマタニティー・ハラスメント(マタハラ)も社会問題となっています。職場において、セクハラ、パワハラ、マタハラ問題はどうなっているのか。日経DUALのアンケートでその深刻な実態が浮かび上がってきました。
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セクハラやパワハラは当事者間だけの問題ではありません。企業などの組織が対処すべき問題であり、第三者の対応により被害や二次被害を食い止めたり、解決につながったりすることもあります。そこで日経DUALでは「職場でのセクハラ・パワハラに関するアンケート」を実施し、被害者本人だけではなく、周囲の人々の対応についても聞きました。
半数以上が仕事関係でセクハラを経験
まずセクハラについての回答を紹介します。「仕事関係の人からセクハラにあったことがありますか」という質問には、「はい」が56%、「いいえ」が44%でした。

「誰からセクハラを受けましたか(複数回答可)」という質問への回答は下記のようになりました。セクハラをした相手に男性が多いのは、回答者に女性が多かったという理由もあると思いますが、全体として(直属の)上司からのセクハラが一番多いことが分かります。

セクハラ被害について誰かに相談したかという質問への回答は、「女性同僚」が36.7%でトップでしたが、「相談しなかった」も31.6%と2番目に多いことが分かりました。

相談相手の反応は、共感してくれたり、アドバイスをくれたりしたケースが多かったようです。

一方、相談しなかった理由としては以下のような声が集まりました。
やめてください、と直接言った。
早く忘れたかったから。
相談したところで解決するとは思えなかった。
お酒の入った時で大げさに言うことでもないと思ったため。
総務ぐるみで女性の評価に差を付ける考えなので相談する先がなかった。自身の社内人脈と職位をあげてから対処するしかないと考えた。
仕事や今後の昇進に差し支えると思い、相談できなかった。
地位の高い人間が守られる社風のため、自分が不利になる。
どこに相談すればいいか分からなかった。
セクハラを相談した結果、ハラスメントがなくなったという回答が20.4%に対し、なくならなかったという回答が42.6%とその数を上回りました。
