働き方改革は女性がカギ 仕事とオフの切り替え上手
そごう・西武執行役員 釣流まゆみ氏
釣流まゆみ・そごう・西武執行役員
管理職として活躍する女性が仕事やプライベート、働き方への思いを自らつづるコラム「女性管理職が語る」。様々な女性管理職が交代で執筆します。今回は、そごう・西武執行役員の釣流まゆみ氏。5度目の登場です。
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今回は仕事とプライベートのバランスや働き方について、大切にすべきことを考えてみたいと思います。よく甘いと指摘されますが、私は仕事は楽しむものというのが持論です。欲張りですが、オフタイムも楽しみたいと思っています。
最近、働き方改革という言葉をよく耳にします。効率の良い仕事をして、オフタイムの消費を増やし、日本経済を活性化するのが目的の一つと聞いています。当社も残業撲滅、連休取得推進といった改革を進めています。私も大賛成で、オフタイムを楽しんでいます。
私が文化プロモーション部に着任してから気に入っているコトが、週末の「八ケ岳高原ロッジ」で過ごす時間です。土曜日の朝、家を出て中央線に乗ると、3時間後には八ケ岳の澄んだ空気の中でお昼ごはんが食べられます。
夕方からは音楽堂でのコンサート。250人のためだけのぜいたくなコンサートを聴きながら、大きなガラス窓に囲まれた空間には夕暮れから日没へと時間が進む。本当にすてきな時間です。その余韻を楽しみながらの夕食、ゆったりとした部屋での時間、早朝からの散歩。そして、おいしい野菜の朝食とすべてが気に入っています。
手前味噌ですが、当グループにこうした施設があることを誇りに思っています。自慢ばかりでも仕方ないので、本筋に戻ると、ご利用いただいているお客様の7割、コンサートの演目によっては9割が女性です。
ウイークデーは頑張って仕事をして、週末は切り替えてとことん楽しむ。そして、すっきりとした気分で翌週から仕事をする。日本だけでなく、韓国や台湾でも、そんな女性でいっぱいです。女性は時間の使い方が本当に上手だと思います。
当社では働くママ達も元気に頑張っています。楽々とは言えませんが、家族や周囲の方々の理解を得ながら、時間を有意義に使い、効率的に仕事をしています。他の会社でも同じ話を聞きます。
働き方改革はリーダーを女性にしたら一気に進みそうな気がします。女性は気分のスイッチの切り替えも上手です。生産者やプランナー、作り手、営業であっても、すぐに消費者になれます。
いま、消費が落ち込んでいるのを感じます。百貨店に勤めながら、情けない限りですが、これが実態です。様々な要因があるとは思いますが、その一つに消費者・生活者に対する意識の弱さがあると思います。提案者と消費者の意識に大きな溝が広がっているのではないでしょうか。
八ケ岳の例でも見られるように、解決の糸口は日々の生活を精いっぱい活用する女性の力です。日常の生活をリードする女性の消費の視点や行動が社会を変えると思っています。
私たち女性自身が勇気を持ってオンタイムを主体的にリードできれば、大好きなオフタイムも増えて今まで以上に楽しめるでしょう。
人生100年時代です。男性、女性に関わらず、手に手を取って人生を楽しみながら生きていきたいと思います。ぜひ、皆さまも「八ケ岳高原ロッジ」での時間を楽しんでいただき、人生の楽しみをお考えになってみてはいかがでしょうか。
津田塾大卒。西武百貨店(現そごう・西武)入社後、池袋店婦人雑貨部に配属。2008年に大津店の店長。10年執行役員(現任)。17年文化プロモーション部長(同)。
[日経産業新聞2018年9月20日付]