紫・緑・黄色… 中国の「死海」はなぜカラフル?

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/10/3
ナショナルジオグラフィック日本版

中国の「死海」とも呼ばれる運城の塩湖には、多くの観光客が押し寄せる。解池(かいち)というその塩湖は、藻類が大発生する「藻類ブルーム」によって、色合いが赤紫や緑、黄色に変わる珍しい湖だ。

この現象を引き起こしているのは、ドナリエラ・サリナ(シオヒゲムシ)という藻類だ。米航空宇宙局(NASA)によると、この藻類は通常の海水環境では緑色だが、塩分の高い環境や光が強い環境では、「細胞などを保護する目的でカロテノイドが生成される」ため、赤い色を帯びる。つまり、湖の色が変わるのは、植物性色素であるカロテノイドが原因だ。

この藻類について研究しているチリのコンセプシオン大学によると、ドナリエラ・サリナは、もっとも耐塩性の強い真核生物(はっきりと分かれた核を持つ生物)といわれており、チリ、オーストラリア、メキシコ、イスラエルなど、世界中の塩湖がある場所に生息している。

藻類によっては、強い光、濃い塩分、養分の欠乏、高温といった環境ストレスを受けると、乾燥重量(乾燥して水を除いた後の重さ)の10%以上のβ-カロテンが蓄積されることがある。これは、「今までわかっているなかでは、自然界で最も高濃度でこの色素が集まる場所」である。

豊かな色を持つドナリエラ・サリナは、食品着色料や化粧品の添加物として広く使われている。また、マルチビタミン剤としても利用される。

運城の解池は、4000年にわたって人々に塩を提供してきた。内陸にある硫酸ナトリウム塩湖としては世界で3番目に大きく、120平方キロメートルほどの広さがある。

[ナショナル ジオグラフィック 2017年9月28日付記事を再構成]

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