iPhone新機種、高いか安いか 識者3人に聞く

iPhone XS Maxの価格は米国で1099ドルから。日本では12万4800円(税別)からとなった(写真:西田宗千佳)
iPhone XS Maxの価格は米国で1099ドルから。日本では12万4800円(税別)からとなった(写真:西田宗千佳)

米アップルが2018年9月12日(現地時間)に発表したiPhone新機種。iPhoneの伝統だったホームボタン付きの機種はなくiPhone Xの流れをくむ3モデルという構成になった。「大きな進化はなかった」という感想がちまたの一般ユーザーからは聞こえてくるが、専門家たちは今回の新機種をどう見ているのだろうか。モバイル機器やデジタル機器に詳しい佐野正弘氏、西田宗千佳氏、戸田覚氏の3人に改めてポイントを解説してもらった。

佐野氏:高価格は日本でも受け入れられるのか?

今回発表された新iPhone3機種の内容を一言で示すと、「極めて順当な進化」ということになるだろう。アップルは2017年の「iPhone X」で、ホームボタンを排した縦長ディスプレーや、指紋認証の「Touch ID」に代わる新しい生体認証「Face ID」など新しいコンセプトを打ち出した。今回発表された3機種は、いずれもiPhone Xのコンセプトを継承。アップルが今後iPhone Xのコンセプトをメインストリームとして展開していくことを明確に示したといえる。

発表会に登場した米アップルのティム・クックCEO(写真:西田宗千佳)

そうしたことから今回アップルは、多くの人が期待する革新性よりも、市場に新コンセプトのiPhoneを普及させることを重視している様子がうかがえる。実際、機能・性能面に関しては、機械学習の処理を一層高速化した新しいチップセット「A12 Bionic」の採用や、カメラ機能の強化などにとどまっており、劇的に進化したという印象はない。

だが端末のラインアップを見ると、有機ELディスプレーとデュアルカメラを備えたiPhone Xの後継モデル「iPhone XS」に加え、従来の「Plus」に相当する6.5インチの大画面モデル「iPhone XS Max」、そして画像が鮮明で高価格な有機ELの代わりに、比較的価格の安い液晶ディスプレーを採用し、カメラを1つにするなどして価格を抑えた「iPhone XR」と、同じコンセプトで3つものバリエーションを用意している。アップルは2017年にも3機種を投入しているが、iPhone X以外は従来のコンセプトを継承したモデルだった。同じコンセプトのiPhoneを3機種同時に発表するというのは前例がないだけに、バリエーションが広く選択肢が豊富になったことが、新iPhoneの大きなメリットといえるだろう。

一方で残念だと感じたのは価格だ。iPhone XS/XS Maxは全モデルが10万円を超えているし、廉価版と言われるiPhone XRでさえ8万円を超えるなど、かなり値段が高いのだ。

それでも従来であれば、携帯電話事業者の販売奨励金によって、新iPhoneを激安価格で買うことができた。だが現在では、行政が携帯電話事業者に対して、端末を過度に値引きして販売しないよう目を光らせているし、その携帯電話事業者側も、端末値引きをしない代わりに通信料金を安くする「分離プラン」の提供へとカジを切りつつある。

かつてのようにiPhoneを安く買うのが難しくなっている中にあって、強気の価格設定となった新iPhoneが、日本で販売を伸ばせるのかというのは非常に気になるところだ。

佐野正弘
福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。NIKKEI STYLEに「佐野正弘のモバイル最前線」を連載中。

西田氏:重要だがわかりにくい機械学習の進歩

iPhoneが高くなりすぎた、そう思う人は多いだろう。発表会を現地で取材している私もそう感じた。だが、アップルは低価格なスマホとは違う価値を生み出そうとしており、それに足る性能を目指した結果がこの価格、といえる。アップルはこれまで同じ製品を2年から3年販売してきたが、この性能は2年で大きく陳腐化する内容ではない。値段が下がってから買ってもいい。また、10月には少々安い「XR」も出る。カラーバリエーションやデザインともに手は抜いておらず、性能も上位機種に近い。むしろ本命はこちらかもしれない。

新機種のデモ(写真:西田宗千佳)
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