ネット時代の学び、覚えるより「発信」で深めるリクルートワークス研究所主任研究員 辰巳哲子氏(2)

日本の学校教育は、知識を蓄積するインプットを重視してきました。しかし、こうした状況も20年の大学入試制度改革などを機に大きく変わるといわれています。知識を活用し、自分で考え、アウトプットを実りあるものにするという方向です。アウトプットの機会をどうつくり、どう生かすかで、学びは進化していくのです。

(2)他者との相互作用の場を持つ

17年に米フェイスブックのマネジャーにインタビューする機会がありました。「絶対に採用しないのは、どんなタイプの人ですか」と尋ねたところ、「人のために働けない人」という答えが返ってきました。チーム内の仕事の様子をよくみて同僚にフィードバックし、逆にもらう意見は柔軟に受け入れながら、互いに成長していくという資質を重視していたのです。

フィードバックで深まる学び

米国のグーグルやスタンフォード大学などでの技術の専門家へのインタビューでは、「学んでいる人の周囲には必ず人がいる」という話が出てきました。人というのは、同じ目的を持って学ぶ仲間や個人のアウトプットに対して丁寧なフィードバックをくれる存在です。人が育つにはフィードバックが欠かせません。今後は、ますますそのスキルが求められるでしょう。また、職場や学校を選ぶ際にも、きめ細かいフィードバックが得られる環境かどうかが、ポイントになりそうです。

(3)内観・俯瞰する

私たちは、受けてきた教育や経験から「こういうときは、きっとこうなるだろう」という想定を持ちがちです。しかし、変化の大きい時代には、これが新たな気づきや発見を邪魔する可能性があります。自分の心の状態を観察する「内観」によって、「自分は、こういう想定を持っているのだな」と認識しておけば、柔軟に学び続けられるようになります。自分は経験から何を学んだのか、少し足を止めて振り返ってみると、自分の価値観がどう形作られてきたかもわかるでしょう。

この文章の前半を読んで、「今どきの若者は、何でもすぐにググって済ませるから知識が浅いんだ」などと思った人も多いでしょう。逆に「年寄りは、なんでも時間をかけて努力しなきゃと考えるから効率が悪いんだ」と思った人もいそうです。お互いにそう決めつけて片付けるのでなく、自分と違う学び方をしている人から学び、バリエーションを増やしながら、自分に合う学び方を見つけていく。それも内観の可能性です。

知識を自分の頭に収めるのを大事と考える時代は、ネットに多くの知が集積し、人工知能(AI)が生活に入り込んでくるのに伴い、終わりを迎えます。学んだらアウトプットし、ほかの人と議論を始めることで、学びは深まることでしょう。アウトプット型の学びは、すぐに試せます。今日読んだ本や出会った人からの学び、まずはそこから得られたことを誰かに伝えてみませんか?

辰巳哲子
1992年にリクルート入社。組織・人事に関するコンサルティング、社会人向けのキャリア研修の開発、高校生・高卒後未就業者のキャリアカウンセリングなどに携わる。2003年、リクルートワークス研究所の主任研究員に。全国の自治体や学校と共同研究を実施するほか、文部科学省や経済産業省の委員としても活動。筑波大学人間総合科学研究科修了。

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