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人見知り少女が折れない官僚へ 村木氏育んだ土佐中高 村木厚子・元厚生労働事務次官が語る(上)

2018/9/17

村木厚子・元厚生労働事務次官

厚生労働省(入省時は労働省)の官僚として、セクシュアルハラスメント対策や障害者雇用の促進、パート社員の処遇改善など、働く人を支援する数々の政策に関わってきた村木厚子氏(62)。2009年に冤罪(えんざい)事件に巻き込まれるが、無罪判決を受けて復帰し、厚生労働事務次官まで勤め上げた。柔らかな物腰ながら、厳しい状況にも冷静さを失わず、信念を貫く毅然とした態度が深い印象を残す村木氏だが、学生時代は極度の対人恐怖症だったという。私立土佐中学校・高等学校(高知市)時代から教師や友人に見守られ、ゆっくり、一歩ずつ人間関係を築く練習ができたと語る。(次回の記事は「家事の基礎も習得 自立促した土佐中高の楽しい授業」)

自分から希望して「あこがれの学校」を受験した。

自由な学校に行きたい。土佐中・高に入りたいと思った一番の理由はこれでした。当時、地元で一番の進学校だったというのもありますけど、それ以上にすごく自由な校風にあこがれました。公立中学は坊主頭とか長い髪は結ぶとか規則が厳しいなか、髪形は完全に自由で、靴も決まった色さえ守れば何でもよい、という学校でしたから。我が家にとってはとてもぜいたくなことでしたけど、親に頼んで塾に行かせてもらって受験し、やっと入れた学校です。1クラス60人ぐらいで女子が13人だったかな。入学してみると実際自由で、入ってよかったと思いました。

このころ、相当な対人恐怖症だったんです。席替えで初めて隣の席になった子にあいさつができない。「明日学校に行ったら『おはよう』って言ってみよう」と家を出て、けっきょく言えずに終わる。そうこうするうちに次の席替えになっちゃう。同級生に「西村(村木氏の旧姓)さん、声たてて笑うことあるんだ」と言われたこともあります。いかに発語していなかったのか。重症ですよね。

学校に1~2分遅刻したときのことです。教室に入るのに先生や友達に何か言わなきゃいけないけれど、そんなの絶対無理。2時間目が始まるまで空き教室にこっそり隠れていました。このことは親にも言ってません。

こんな極端な人見知りでしたが、土佐中・土佐高では干渉されることも、疎外されることもありませんでした。

子どものころから本が好きで、学校では図書館にいる時間が長かったです。中高一貫校で図書館は1つなので、けっこう大人の本もあったのがよかった。シャーロック・ホームズから始まって推理小説が好きになり、中高ではエラリー・クイーンなどを読みました。意外にはまったのが戯曲ですね。図書館に近松(門左衛門)や(井原)西鶴のほか、坪内逍遥のシェークスピア全集があって、これは戯曲の形で書いてあるすごく古い本でした。意味が分からないところやストーリーを追えないところもあるけれど、セリフにリズムがあるからか、すごくおもしろかった。少し大人っぽいものも次々にみて「これはまだ無理」「これおもしろい」と、本に出合っていった感じです。室内の雰囲気もちょっと薄暗くて何となく温度が低い、独特の空気があって好きでした。特別な場所でしたね。

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