保存か解体か 「中銀カプセルタワー」を中から撮った

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/9/19
オーナーによってリフォームされたカプセル。キャビネットはほぼ原形をとどめている(PHOTOGRAPH BY NORITAKA MINAMI)
キャビネットにはカラーテレビ、照明、電話、時計、ラジオ、ステレオが組み込まれている(PHOTOGRAPH BY NORITAKA MINAMI)

転居した人もいれば、オフィスとして貸し出している人もいる。唯一無二の住居にとどまるため、リフォームを選択した人もいる。

ミナミ氏は居住者を撮影せず、所有物からその存在を感じてほしいと考えている。「(カプセルは)人々のアイデンティティー、関心、趣味、好みが詰まった入れ物として機能しています」

空間に制約があるため(床面積は約10平方メートル)、きちんと整理しなければならない(PHOTOGRAPH BY NORITAKA MINAMI)
カプセルは工場で製造後、タワーに固定された。部屋の片隅には、シャワーとトイレを備えた小さなユニットバスがある(PHOTOGRAPH BY NORITAKA MINAMI)

2020年の東京五輪が近づくにつれ、東京のいたるところで開発が進められている。同時に、歴史あるタワービルの未来に関する議論も再燃している。

ミナミ氏は、中銀カプセルタワービルがメタボリズム運動の象徴として保存されることを願っている。効率的な都市生活の実現というタワーのコンセプトは現代にも通じるものだ。また、日本が歩まなかった道、訪れなかった未来を思い出させてくれる存在でもある。

カプセルはすべて、1972年に同じような仕様で製造されたものだが、大幅に改造された部屋もある(PHOTOGRAPH BY NORITAKA MINAMI)
横から見た同じカプセル。居住者が木材を再利用し、大きな棚をつくった(PHOTOGRAPH BY NORITAKA MINAMI)

「日本では、現代建築の保存があまり重視されていません」とミナミ氏は話す。「経済発展のために解体するというお決まりのやり方ではなく、そこに存在させ続けることが重要なのです」

オーナーや居住者たちの個性がわかる部屋の様子を次ページでさらに紹介する。

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