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今も100万人居住 中国、地下核シェルターの実像

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ナショナルジオグラフィック日本版

1960年代後半から70年代、冷戦下の中国では万一核兵器が使用された場合に備えて、核爆弾の爆発に耐えられるシェルター付きアパートが都市部の地下に建設された。当時の毛沢東主席の指示だった。こうしたシェルター付きアパートは、今では違う目的で使われている。イタリア人写真家のアントニオ・ファシロンゴ氏の写真で紹介しよう。

中国が広く世界に門戸を開いた80年代初め、地下に作ったシェルターは役割を終え、中国国防部はシェルターを民間に貸し出すことにした。北京だけでも約1万の地下シェルターがあり、今では100万を超す人たちが、夜になると、北京の慌ただしい通りから地下の世界へと消えていく。大半が移民の労働者か、地方から出てきた学生たちだ。地上の世界にいると、その暮らしぶりを知ることはほとんどない。

禁じられた撮影

地下シェルターを見つけるのは簡単だったが、中に入るのは難しかった。どこのシェルターでも「核シェルターに外国人が入ることは法律で禁じられている」と、警備員に追い返されるのだ。ファシロンゴ氏は地元の役所に正式な申請書を提出したが、それでも断られた。結局、氏は、警備員が昼食で入り口を離れたすきに中に忍び込んで撮影したのだ。

しかし、住人のほとんどは写真に撮られることをいやがった。

「150人くらいに会いましたが、撮影に応じてくれたのは50人ほどでした」とファシロンゴ氏は話す。「いい仕事に就いて、いいアパートに住んでいると、田舎の家族に伝えていた人たちは、私に撮られることに不安を感じていましたね」

実際、地下シェルターでの生活は厳しい。戦時や放射性物質の降下に備えて数カ月暮らせるよう作られただけあり、電気、配管、下水設備はあるが、適切な換気装置がない。空気はよどみ、かび臭い。共同で使う台所やトイレは狭苦しく、不衛生だ。

現地の法律は、最低限の居住スペースを借家人1人あたり4平方メートルと定めているが、無視されていることが多い。ファシロンゴ氏が撮った人たちの中に、4歳のジンジンちゃんがいる。祖母、父、弟と暮らす部屋は、ベッド1台が入るだけの狭さだ。この家の隣にはもっと広い空間があるが、オートバイの駐車場として使われている。

中国政府は2010年、家主がこうした状態を放置していることや、安全上の欠陥があることを問題視し、核シェルターやその他の格納スペースを住宅に利用することを禁じた。しかし、シェルターから人を一掃することは難しく、成果は上がっていない。大きな理由は、地下シェルターの住人たちには、ほかに行き場がないことだ。

北京の住宅価格は高騰し続け、住宅用不動産の価格は2017年の時点で1平方メートルあたり平均5820ドル(65万円弱)と、世界で3番目に住居費が高い都市になっている。

コミュニティーセンターに使う例も

それでも、より大きなチャンスを求めて地方から首都・北京に移る人が後を絶たない。ただ「戸口」という時代遅れの戸籍制度では、社会保障は出生地と結び付けられているため、福祉的な援助は期待できない。

公営住宅は手ごろだが、入居する機会が限られているため、移住労働者にとって、地下の核シェルターは数少ない現実的な解なのだ。ファシロンゴ氏によると、小さな部屋は1カ月わずか40ドル(4400円程度)。10人ほど暮らせる共同部屋なら、月に20ドル(2200円程度)で入れるという。

住人の多くは野心に燃える若者たちで、地下暮らしは一時的なものと考えている。経済力がつけば、窓があり日光が差す部屋に移るつもりなのだ。

最近では、空いたシェルターをコミュニティーセンターに転用しようという団体も現れている。また、ファシロンゴ氏の写真には、ビリヤード場、カラオケ店や書道教室などに使われている様子が収められている。

こうしたセンターができたことで、北京のコンクリートジャングルに暮らす住民たちの間に、社会的な階層を超えて付き合う機会も生まれている。ファシロンゴ氏の言葉を借りれば、「地下シェルターは、『富める者も貧しい者も家を見つけられる』場所となり、社会を団結させる力になっている」のだ。

次ページでは、核シェルターの入り口や、シェルターを利用する人々を写真で紹介しよう。

(文 YE MING、写真 ANTONIO FACCILONGO、訳 高野夏美、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2018年8月17日付記事を再構成]

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