職場の困った上司&部下 上手に味方につけるワザ
苦手な上司や扱いづらい部下でも、味方につければ仕事がスムーズに進み、評価もアップする。そこで職場の困った人たちを攻略する方法を一挙ご紹介します。
【上司編】どんなタイプでも、やっぱり部下から慕われたい!
「どのタイプの上司も、部下からは好かれたいし、慕われたいと思っています」と作家の有川真由美さん。困った上司に苦手意識を持ってしまうのは仕方ないが、自分の評価をする人でもある。媚(こ)びる必要はないが、嫌われたら損。相手の特徴をつかんで、うまく付き合おう。
タイプ1【細かく管理したがる上司】すべて自分で把握したい!
小さいことが気になる心配性。完璧主義でプライドが高く、怒られることを極端に嫌う小心者。自分の思い通りにならないと気が済まない、子供のような一面も。
【読者の体験談】
「常にこちらの様子をうかがい、電話応対や顧客との会話にも聞き耳を立てている。話しかけてくるときも距離が近くて気持ちが悪い」(40歳・医療・事務)
【うまく付き合うコツ】小さなことが気になる心配性。まめな進捗報告で安心させる
すべては不安から来る行動なので、安心させてあげるといい。「上司が気にするポイントを把握しておき、そこだけはミスしないよう、念入りにチェックを。聞かれる前のこまめな『報・連・相』で、先手を打っておくのもおすすめです」。
・上司が気にするポイントを分かっておく
・聞かれる前に「報・連・相」
・面倒見がいい上司だと思って接する
タイプ2【仕事をしない上司】人に仕事を押しつけて自分は暇そう……
面倒な業務はすべて部下に丸投げするタイプは、権力主義者で上の目ばかりを気にしている。部下は自分が上から評価されるための「駒」。人望がないのが特徴。
【読者の体験談】
「なんでも人に丸投げし、全く仕事をしないので困っています。『自分でやってください』と言ったら、無視されるように……」(45歳・通信・ウェブ関連)
【うまく付き合うコツ】期待しないと割り切り、頼れるところは上手に頼る
「仕事をしない人」だと割り切り、期待しないのが一番。仕事を振られすぎるときは、自分のスケジュールを伝え、断ることも必要。上司の得意分野の案件なら、「これ、お願いできますか?」と頼ってみて。引き受けてくれたら、多少大げさに感謝しよう。
・「イラッ」としても態度に出さない
・頼りにしていることを伝え、仕事を上手に依頼
・やってもらったことは、1.5倍盛りで感謝する
タイプ3【気分にムラがある上司】機嫌の良し悪しで態度が変わる
感情が気分に左右されやすく、言っていることがコロコロと変わりやすい。機嫌がいいときはお調子者でいい人だが、機嫌が悪いとイライラオーラ全開になる。
【読者の体験談】
「感情の起伏が激しく、パワハラ気味の女性上司。そのせいで新入社員がすぐに辞めてしまい、常に人手不足……」(37歳・医療・管理栄養士)
【うまく付き合うコツ】気分で発言や行動が変わるが、相手の態度に振り回されないで
機嫌が悪そうなときは、できるだけ関わらないのが鉄則。「イライラしていても相手の問題なので振り回されないで」。気分で言うことが変わるので、打ち合わせ後は簡単な議事録で話した内容を記録&共有し、「言った言わない」のトラブルを回避しよう。
・コミュニケーションは機嫌のいいときに
・指示や約束事は文書で残してシェア
・キレられたら、相手の問題と割り切る
タイプ4【優柔不断な上司】決めてくれないから動けない!
自分に自信がない、人に嫌われたくないなどの理由から、決断を先延ばしにしがち。「ちょっと待って。やっぱり上にもう一度相談してから……」が常套句。
【読者の体験談】
「職場の男性上司は何も決めず、指示も出さず、いざというとき逃げる。最低です……」(36歳・通信・営業)
【うまく付き合うコツ】すべては自信のなさの表れ。判断材料を用意するのがいい
あらかじめ選択肢を2つ程度に絞っておき、判断材料を多めに用意してから相談を。「私は○○の理由からAがいいと思いますが、課長はどう思われますか」という聞き方だと、相手も判断しやすくなる。
・日ごろから感謝を伝え、自信を持ってもらう
・決断を仰ぐときは、説得力のある理由を用意
・「○日までに」と決断の期限を伝える
【部下編】「分かってもらえた」と思ってもらえれば関係はうまくいく
部下や後輩といい関係を築くには、常に相手の聞き役に徹し、「分かってもらえた」と思ってもらうことが大事。「上から目線のアドバイスは完全に逆効果。話を聞いた上で、『じゃあどうしようか?』と目線を合わせ、解決策を一緒に探す姿勢を示せれば、満点です!」。
タイプ1【ミスを連発する部下】心配で仕事を任せられない……
注意力が散漫で、こちらの説明や注意の多くを聞き流してしまう傾向が。自己評価が低く、責任感がないのも特徴。迷惑をかけているという認識も不足気味。
【読者の体験談】
「いつも『分かりました』と返事はいいが、うっかりミスが多すぎる! 分からないならちゃんと質問してほしい!」(36歳・人材・コンサルタント)
【うまく付き合うコツ】ミスの原因と対策を一緒に考える姿勢が大事
注意や叱責を繰り返しても効果なし。改めて時間を取り、ミスの根本的な原因と具体的な対策を一緒に考えよう。自信のなさもミスの原因なので、できたことはすぐに褒めるのも大事。「あなたらなできる」「期待している」としっかり伝えて。
・一方的に叱らず、相手の言い分もしっかり聞く
・指摘はストレートにさっぱりと言う
・「あなたならできる」と期待を伝える
タイプ2【プライドが高い部下】言い訳や口答えが多く扱いづらい
自分の非を認められない、認めたら負けだと思っているタイプ。叱られることを極端に嫌い、叱ったまま放っておくと、すねて殻に閉じこもってしまうことも。
【読者の体験談】
「女性に対してなめた態度を取る年下の男性部下。口答えも多くイライラします!」(35歳・水産・広報)
【うまく付き合うコツ】言い分をたっぷり聞いた後、「どうすればいいか」を考えさせる
このタイプは人に注意されたり、意見されたりするのが苦手なので、まずは言い訳や本音を遮ることなく、最後までしっかり聞く。その後、「頼りにしていること」を伝えた上で、「どうすればいいと思う?」と、自身で納得いくまで考えさせて。
・言い訳は遮ることなく最後まで聞く
・意見は否定せず、認めてあげる
・相手が納得いくまで、とことん話し合う
タイプ3【やる気がない部下】もうちょっと頑張ってほしい……
仕事へのモチベーションが低く、プライベートが最優先。上昇志向がほとんどなく、現状維持を望む傾向がある。指示したこと以上の仕事をしないのも特徴。
【読者の体験談】
「いい年してお気楽OL気分。注意するとすぐ泣くから、私が悪者みたいな空気に……」(55歳・証券・営業)
【うまく付き合うコツ】プライベートに興味を示し「意外と話せる人」だと心をつかむ
モチベーションが低いので、いきなり仕事の話をしても響かない。まずは、相手の習い事や趣味など、プライベートに興味を示すことで距離を縮めて。「心をつかめると、仕事の目標や目的、優先順位など、業務の話を受け入れてもらいやすくなります」。
・やる気がないことを責めない
・日常のコミュニケーションを密に
・注意や要求は距離を縮めてから
タイプ4【威圧感のある年上部下】どう扱ったらいいか分からない
年下が自分の上の立場にいることでプライドが傷つき、「お手並み拝見」となめているため、態度が高圧的になりがち。"敵"に回すと聞く耳を持たなくなったりするなど、厄介。
【読者の体験談】
「普段は仲良くしているけれど、注意すると思いっ切り不機嫌に。気を使いすぎて疲れます」(35歳・メーカー・広報)
【うまく付き合うコツ】礼儀正しく、時には頼りかわいがられるキャラに
相手との距離感にかかわらず、話すときは敬語をキープ。日ごろから、相手への感謝やリスペクトをしっかり伝えよう。プライドが高いので、褒めと感謝は皆の前で、苦言は別室で2人きりのときに。頼れるところは頼り、かわいがられたほうがうまくいく。
・注意や苦言は人前ではない場所で
・日ごろから感謝や尊敬の念を伝える
・言葉選びに気を付け、礼儀正しく接する
作家。化粧品会社事務、衣料品店店長、着付け講師、編集者など、数多くの転職経験を生かし、働く女性のアドバイザーとして書籍や雑誌などで執筆。著書は『女子が毎日トクをする 人間関係のキホン』(PHP研究所)など多数。
(ライター 宇佐見明日香)
[日経ウーマン 2018年8月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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