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本日入荷 おいしい話

日本酒、純米の酸味・うま味で勝負 大吟醸人気に変化

2018/8/24

特定名称を名乗らない「小嶋屋 無題―壱」

「東光」で知られる小嶋総本店(山形県米沢市)は、4月から新たなブランド「小嶋屋」を打ち出した。このシリーズの「無題―壱」という銘柄は、特定名称の分類に当てはまらない酒だ。純米大吟醸を何度も仕込み直すという独特の製法で、甘酸っぱさと奥行きのある味わいにした。歴史書「古事記」に出てくる酒から着想を得たという。スサノオが大蛇のヤマタノオロチを退治するとき、酔わせようと用意させた八塩折(やしおり)の酒だ。同社の小嶋健市郎社長は「最近の日本酒市場は精米歩合のアピールに頼りすぎてきた」と語る。

■広がる日本酒の楽しみ方

もちろん、コメを削ってこうじ菌をうまく繁殖させたり発酵させたりするためには技術力がいる。大吟醸クラスだとすっきりした味になって飲みやすく「吟醸香」という優雅な香りもある。フレッシュでジューシーなお酒は美味しい。ただ「精米歩合40%以下に磨くと徐々に似通った味になってしまうのも否めない」と東京・恵比寿の日本酒バー、ジェムバイモト店主の千葉麻里絵さんは話す。コメを削るのは「雑味」を生むアミノ酸類を取り除くためだが、酒米ごとの個性を生かしづらい側面もある。

かつて日本酒でもワインのように熟成させて飲む楽しみ方が珍しくなかった。酒は熟成していくとアミノ酸と糖分がメイラード反応を起こし、あめ色に変わりつつ様々な香りがするようになる。5~10年ほど寝かせた古酒は深みがあるが、税制の影響のほか、どれぐらいコメを削るかという一辺倒の競争が強まっていくとともに熟成酒の文化は薄れていったという。

大吟醸酒や吟醸酒はワイン、ウイスキーに比べ「栓を開けたら早く飲みきらないと風味が変わってしまうのが玉にきず」(都内のソムリエ)との声もある。一方、あまりおコメを磨かないで醸した低精白の純米酒や熟成酒は、開栓から数日たっても楽しみやすい。消費者は「精米歩合が高いから」ではなく、銘柄選びには様々な観点があることを知れば、好みの日本酒に巡り合えたり、味わいも一層深まったりして日本酒の楽しみが広がりそうだ。

(商品部 小太刀久雄)

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