日本酒、純米の酸味・うま味で勝負 大吟醸人気に変化

今回のKura Masterでは、審査員賞をとった「七本鎗 純米 渡船」も話題になった。造っているのは滋賀県長浜市の冨田酒造だ。酒米は「滋賀渡船6号」という珍しい品種で、23%しか削っていない。深いコクがあり、飲んだあとの余韻も長続きする。同様に審査員賞には「山田錦 雑賀 純米大吟醸」も入った。「吟醸だから」「大吟醸だから」という理由でなく、味の複雑さや余韻が評価されたという。

Kura Masterの運営に携わる浅岡枝里さんは「フランスでの評価は、日本酒の味わいに再び多様性をもたらしてくれるのでは」と期待する。日本酒づくりでコメを削る競争となったのは、戦後しばらくたってからだ。すっきりした味も魅力的だが、日本酒の「評価軸は複数あっても良いのではないか」と再認識させられる結果になったという。

コメの持ち味生かす

酒米の個性を生かした日本酒を目指す酒蔵は増えている(山口県宇部市の永山本家酒造場)

酒販店、いまでや(千葉市)の小倉秀一社長は「素晴らしい大吟醸はもちろん数多いが、良い酒米だからあまり磨かないという選択肢もある」という。たとえば木戸泉酒造(千葉県いすみ市)の「afs(アフス)」という銘柄は、地元産「総の舞」という酒米を35%だけ削ってある。コメで造りながら、果実酒のようなフル―ティさと爽やかな酸味が特徴的だ。

仁井田本家(福島県郡山市)の「にいだしぜんしゅ」は、有機栽培した「夢の香」というコメを30%だけ削っている。秋田市の新政酒造は限定生産ながら「純米酒96%」という、4%しかコメを削らない銘柄も造っている。ふだん食事で食べるコメは玄米から10%前後を削るので、より玄米に近い原料といえる。「あきた酒こまち」という、秋田県が山田錦に対抗して育成したコメを極力生かす試みだ。

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