スマートフォン(スマホ)ならAndroidかiPhone(iOS)か、パソコンならWindowsかMac(macOS)か、購入するときに気にする人は多いだろう。これらは「OS」と呼ばれる基本ソフトであり、スマホやパソコンの機能や使い勝手の基本を担っている。一方、これまで機能や使い勝手はほぼ同じだったテレビでも、OSが重要になりつつある。NetflixやDAZNなど、次々登場する映像配信サービスへの対応などで差が出てくる可能性が高いからだ。
それら映像配信サービスを気軽に見るには、地上波やBS放送と同じように、見る番組をリモコンで簡単に選びたい。実際、最近のテレビのリモコンには、BSや地上波を切り替えるのと同じように、映像配信を呼び出すボタンがつくようになっている。この対応でOSの差が出てくるのだ。
Androidを採用したソニーとシャープ
ソニーとシャープは、4Kを中心とした主要モデルに「Android TV」を採用した。ソニーは2015年から、シャープは2017年から採用している。利点はスマホのAndroidに近いこと。スマホアプリからの転用が容易なので、新しい映像配信サービスや、映像配信サービスの新機能への対応は比較的速い。ユーザーはAndroidスマホと同様、アプリストア「Google Play」から、該当する映像配信サービスのアプリをインストールすればいい。

ただ、同じOSを使ってはいるが、ソニーとシャープのテレビは全く同じというわけではない。「ユーザーインターフェース(UI)」や機能が異なっている。
ソニーはスマホのAndroidによく似たUIで利用できる。特に力を入れているのが、音声による操作。Androidには、音声での操作に対応する「グーグルアシスタント」が搭載されているが、これとおなじものがAndroid TVにも組み込まれている。リモコンにマイクとグーグルアシスタントを呼び出すボタンがあり、リモコンに向かって話すことで、ネット検索や録画番組の再生ができる。別途スマートスピーカーがあれば(グーグル製品だけでなく、アマゾンのEchoシリーズにも対応する)、リモコンがない場所から声で操作することも可能で、2018年中には、照明や掃除機などの操作にも対応する。
また、欧州で18年7月末に発表した(日本での発売は未定)最上位モデルの BRAVIA MASTERシリーズ「AF9」および「ZF9」では、テレビにマイクが内蔵され、リモコンを使わなくても、スマートスピーカーと同じように、ハンズフリーで命令できるようになっている。

シャープも音声操作には対応予定だが、それ以上に「人工知能(AI)」に力をいれている。放送からネット配信まで、視聴履歴をAIで解析し、利用者が見たいであろうコンテンツを提示する「ココロビジョン」という機能を搭載している。独自に音楽・映像・ゲームの配信機能をもっており、どれもテレビから簡単に使えるようになっている。興味がありそうなテレビ番組が始まるときなどには、ココロビジョンが声で教えてくれる。
Android TVの欠点は動作が緩慢になりがちなところだ。最初の製品から数年が経過し、起動速度などはかなり改善しているものの、全体に動作は「もっさり」しがち。さらなるパフォーマンスアップが必要なのだろう。
「HTML5」で対応するパナソニックとLG
パナソニックとLGエレクトロニクスは、それぞれ独自のOSを採用している。そのため、Androidのようなスマホアプリからの流用はできないが、どちらもウェブブラウザーで「HTML5」を採用しており、ウェブアプリを作るノウハウが転用できる。