2018/8/21
女性社員登用について助言するアルファ・アソシエイツの藤原美喜子社長(右、東京都中央区)

社内にメンター制度を導入している企業もあるが、女性登用のコンサルティングを手掛けるアルファ・アソシエイツ(東京・千代田)の藤原美喜子社長は「相談したら他の社員に漏れるのではと不安に感じる人もいる」と話す。藤原社長がメンターとして、企業や官公庁の女性職員と接していると、誰にも話せずに悩んでいる人がいかに多いか驚くという。

他社の事例が参考に

「管理職になったら、周りの人たちが急に冷たくなった」「部下を動かすのが難しい」といったキャリア上の問題はもちろん、「夫の仕事が主で、自分も仕事をしているのに家事や子育てを全て任される」という悩みも。パワハラやセクハラにあっている場合は情報取り扱いに配慮のうえ当該企業の担当部署に伝えるが、基本は秘密厳守。社外だからこそ私生活まで打ち明けられることも多い。リーダーになるのをためらう女性には「誰でも初めてのことは不安。管理職になる条件は覚悟を決めるかどうかだけ」と親身に寄り添う。

全国信用協同組合連合会(東京・中央)の信組支援部の古川双葉上席主任(42)は藤原さんと話して管理職を目指すことを決めた。1992年に一般職として入社して以来、地元の福岡支店で勤務。仕事は好きだが、管理職に就くことは念頭に無かった。参考になるようなロールモデルもおらず「自分に務まるのか、不安が大きかった」が、藤原さんと話して「他社の事例も聞けた。今までの経験に自信を持ち、さらに成長して、取引先のためにも役に立つ仕事をしたいという思いに変わってきた」と振り返る。

全信組連は2年前から藤原社長に女性職員への研修と社外メンターを依頼。女性も管理職に昇進できるよう人事制度を変えたところで、意欲を引き出すのが目的だった。内藤純一理事長は「男性職員では組織内部の立場でしか話せず、説得力が弱い。他社の現状と比較しながら女性登用の現状や管理職のあり方について話してもらうことで、女性職員にとって参考になる」と説明する。古川さんと同様に管理職を目指す女性が増え始め、外部メンターの導入が女性活躍の「実を結んできた」と手応えを感じている。

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外部委託も一つの策 ~取材を終えて~

このまま働き続けられるのか、どうキャリアを磨けばいいのか。長く働くうちに一度は悩むだろう。育児や家事、介護などを担いながら働く女性なら事情はさらに複雑。話を聞いてもらい適切な助言が得られれば、モチベーションアップにもつながる。

ある育児中の女性は「職場では昼はみな黙々と仕事をし、自分は午後6時には退社。雑談の時間はない」と話す。社内でキャリアについて話せる機会は少なくなっている。傾聴方法など専門性を持ち、秘密を守ってくれる外部メンターの存在は大きい。人を生かすために企業が外部委託するのも一つの解決策かもしれない。

(関優子、田辺静)

[日本経済新聞朝刊2018年8月20日付]

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