2018/8/10

感動のプロジェクトストーリー

リブロ汐留シオサイト店の三浦健さんのおすすめは『夏空白花』と『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』

リブロ汐留シオサイト店店長の三浦健さんのおすすめは、最近の売れ筋から2冊。まずあげてくれたのはビジネス書ではなく、須賀しのぶ『夏空白花』(ポプラ社)という小説だ。戦争で中断した夏の高校野球大会(当時は中等学校野球大会)を戦後わずか1年で復活させたドラマを、直木賞候補にもなった作家が史実に基づいて小説にした。「第100回を迎えた今年の夏だからこそ、読んでほしい」と三浦さん。ひとつのプロジェクトストーリーとして読めば、「ビジネスパーソンも勇気づけられると思う」と言う。

もう1冊はデイヴィッド・S・キダー、ノア・D・オッペンハイム『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』(小林朋則訳、文響社)。タイトル通りの教養書だが、起業家とニュース制作会社の社長が著者なのがみそだ。月曜は歴史、火曜は文学、水曜は視覚芸術、木曜は科学、金曜は音楽、土曜は哲学、日曜は宗教という具合に7曜日に7分野が割り当てられ、第1週月曜の「アルファベット」に始まり、第52週日曜の「ゾロアスター教」まで、合計364項目の教養が語られていく。太字のリードと本文、豆知識という構成で1項目1ページにまとめられているが、「短いわりに中身が濃い。安い本ではないのに5月の刊行以来うちではベストセラー上位の常連」と三浦さんは話す。刊行が相次いでいるビジネス教養書の中でも定番になっていきそうな売れ方だという。

デザイン思考をコンパクトに

この4月から準定点観測書店に加わった三省堂書店有楽町店主任の岡崎史子さんが挙げたのは「休みの旅行などに持っていきやすい本」。教養書とビジネス書をバランスよく選んでくれた。ひとつは新書判の教養書で、越智敏之『イギリス肉食革命』(平凡社新書)。一種の文化史を扱った本だが、「食文化から歴史を読み解いた本はロングセラーが多く、今年出たものの中では特におもしろい」と岡崎さんは言う。「16世紀にイングランドで始まった食事情の大変動」を生産者側の近代化を通して見ていく展開は、食ビジネスのイノベーションの物語として現代の企業人にも示唆を与えてくれるかもしれない。

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ポーター『競争戦略論』が新版に