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5時間の作業がわずか2分に 現場発の働き方アイデア

リクルートホールディングス(下)

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NIKKEI STYLE

2015年4月に「働き方変革プロジェクト」を発足させたリクルートホールディングス。職場にいなくても在宅や外出先で働けるリモートワークなどで働き方を変える一方、マネジメント層の意識改革に取り組み始めました。上編の「リクルートの働き方改革 営業のマインドは変わったか?」に続いてリクルートのイクション事務局長で、18年4月からは働き方変革推進室でエバンジェリストも兼任する二葉美智子さんに聞きました。

営業の改革はボトムアップで

白河 前回、マネジメント研修の結果、不要な習慣がかなり整理・削減されていったとお聞きしました。不要な習慣とは、例えば?

二葉 単純に、作り込んだ資料や詳細な報告といったものです。当社は営業マンが個々にお客様にコミットしていくので、「思いが募ってパワーポイントの資料をつい作り込んじゃう」みたいなことがよく起きるんです。

人によってフォーマットが違っていたのを、「1つの型に共通化しましょう」とか。個人にひも付いていたナレッジを共通のツールに転換する試みが加速しています。あるいは、各会議で管理している数字がバラバラだったのでシステムで統合するとか。言ってしまえば当たり前かもしれない基本的な部分の効率化を進めています。

ポイントは「現場発」にこだわること。総務や人事が作って配布したのでは結局使われない場合が多いので、ボトムアップで作っていく改革を徹底しています。

白河 つまり、営業主導での働き方改革だと。

二葉 その通りです。結果、残業時間も休日出勤も減るという数字上の効果も出てきています。もう一つの事例としては、「ホットペッパー」や「じゃらん」を展開しているリクルートライフスタイルという会社ではマネジメント研修のほか、「ガリレオCHALLENGEプロジェクト」というボトムアップでアイデアを集める取り組みを立ち上げました。

ガリレオという名前の由来は「今までのやり方や常識を疑い、インプットを最大化して、アウトプットを高めて、ハピネスをつないで、まだ見ぬ世界を見にいこう」というもの。現場で生産性を高めた事例がイントラネット上で3日に1回くらいのペースでどんどん流れてくるというものです。

白河 どんな内容ですか?

二葉 例えば、「お客様への提案書に、パワーポイントだけでなくワードも活用する方法」といったものです。小さなTIPS(コツやテクニック)を社内全員で共有していくことで、身近ですぐに使えるノウハウを吸収し合えるのが狙いです。

働き方改革に関するアイデア創出に予算をつけてトライする表彰制度も始めています。「ガリレオナレッジキャンペーン」(通称ガリナレ)というもので、表彰されたのは栃木の営業所の社員で、資料作成に要する時間を劇的に短縮した例でした。チェーン店を担当していると整理分析するデータが膨大で、これまでは1社の資料を作るのに5時間を要していたそうなんです。それを社内のエンジニアも巻き込んでアイデアを出し合って効率化を進めた結果、なんと2分に短縮したんです。

白河 お客様のためにという思いが5時間になっていたのですね。それが2分でしかも内容は変わらない?

二葉 そうなんです。長時間かけて作成した資料がお客様にとってよい成果になる場合もありますが、変わらないのであれば効率化したほうがいいに決まっています。

長時間労働の人は評価をしない

白河 でも、やる気のある優秀な社員にとっては「私のノウハウを皆に見せたくない」という心理が働くこともあるのではないでしょうか。

二葉 そういう意味では評価制度も変わってきています。人材派遣サービスのリクルートスタッフィングでは「いくら営業成績を伸ばしても、チームの中の1人が決められた労働時間を超過すると表彰対象としない」というルールが導入されました。

これは、現最高経営責任者(CEO)の峰岸(真澄リクルートホールディングス社長)自身の方針でもあって、住宅部門のトップをしていた頃に「スピード・イズ・パワー」というプロジェクトを立ち上げたんです。

当時、社員は土日にモデルハウスに出勤して、お客様のスリッパを並べたり、接客したりするのが普通で、「長くいるほど、お客様との距離も近いし、ヒアリングもできるし、売り上げにもつながるはず」という認識で習慣化していました。

峰岸が「本当にそうか?」と労働時間と業績との相関を見たらまったく関係なかった。そこで、時間の総量よりも生産性重視の方針へ大きくかじを切りました。

白河 とはいえ、これまで長時間働いて会社に貢献してきた人からすると、文句を言いたくなるのでは? そういった不満はどうやって吸収していったんですか。

二葉 やはり現場の納得感が大事だと思います。賞罰で明確にメッセージを出すのに加えて、「ボトムアップでアイデアを集めて実際に回して、成果が出たら共有して広げていく」というサイクルをどんどん回していく。すごく、リクルートらしいスタイルじゃないかと思っています。

白河  たしかにそうですね。以前、リクルートの社員の方が「他の大企業がトップダウンで改革を進めたと聞いて、なんて素直でいい社員が集まっているんだろうと思いました。うちの会社は、上から決められると動きたくない人ばかり。自分たちの提案でなければ動こうとしませんから」と話していたんです。働き方改革は、社員のキャラクターに合わせて方法を考えていくべきなんですね。

二葉 リクルートグループの中でも会社によってカルチャーが微妙に違うので、全体で統一するようなルールの押し付けだけはやっちゃいけないと思っています。

白河 一方で、クライアント企業側には古い体質のところも多いと思います。昔ながらの営業スタイルは変わって行くのでしょうか。

二葉 営業の接点に関しては、人が介在して価値を発揮できる部分と、テクノロジーで代用できる部分を仕分ける工夫がまさに現場で進行中です。中小企業の生産性向上支援のサービスにも力を入れています。例えば、レジ機能に加えて顧客管理などもできるPOS(販売時点情報管理)レジアプリの「Airレジ(エアレジ)」は飲食店などで導入されています。ITツールを無償提供し、活用されることで蓄積したデータをいただいてこちらで分析して、コンサルティングサービスとして提供することで売り上げに貢献するといったもので好評です。

意識を変えるには体験が大事

白河 イケイケドンドンの営業スタイルから、随分マインドは変わってきた感じでしょうか。

二葉 「このままではいけない」と、ミドル層がだんだん気付き始めています。ただ、これまでやってきたことを真っ向から否定するのではなく、納得して理解してもらうことがやはり大事です。一番早いのは、本人が体験したり、間近で事例に触れたりすることです。

これも峰岸の体験なんですが、かつて『赤すぐ』という育児メディアを担当していた時に、ワーキングマザーの社員が短時間でものすごい成果を上げているのを目の当たりにしているんです。

最近は、男性役員の中に小さいお子さんがいる方も増えていて、膝の上に乗せてオンライン会議に出席していたこともありました。「老眼対応のために、自宅には大きなモニターを設置した」という役員もいます。彼ら自身も当事者としてリモートワークを楽しんでいます。

16年9月に「ZIP WORK」という専門人材に時短の業務委託で働いてもらう事業を開始しました。その意義を当時の役員がなかなか理解をしてくれなかったのですが、実際のワーカーを彼の近くに配置してみたら、「ああ、彼女みたいな働き方だね。よく分かった」と納得してくれたんです。やはり実際の多様な働き方に触れる体験の効果は大きいと思いました。

白河 管理職が実際の家庭で4日間の子育て体験インターンをする「育ボスブートキャンプ」も、そういった取り組みですよね。体験者に話を聞きましたが、「自分は独身だけど、体験後には労働時間が短くなった」と言っていました。冒頭におっしゃっていた女性の活躍については現時点の成果はいかがですか。

二葉 もともと政府が数値目標を定める前の2010年ごろから女性管理職の任用数値目標を設けていまして、「2018年春時点で課長職以上30%」というのを目指していました。いま28%ですので、目標まであと少しです。役員の女性比率は11.9%。5年前から7ポイント上がっています。時短勤務からフルタイムに戻すタイミングも以前より早まっています。

白河 二葉さんは外部のNPOと共同で「はたらく育児」を応援するためのプロジェクト「iction!(イクション)」を立ち上げた仕掛け人でもありますね。これから5年先、10年先にリクルートがどんな会社になっていたらいいと思いますか。

二葉 個人的には、社内向けの働きやすい環境整備はもちろんのこと、外で活躍する方々とうまく連携してリクルートの成長に関わっていただける人材調達がもっと進むといいなと思っています。「ZIP WORK」の導入社数は600社を超えましたが、内部でももっと多彩な経験を持つ人材との協働を進めていって、環境変化に強い組織にしていけるとすてきですね。

リクルートは営業の会社と思われていましたが、これからの時代はエンジニアの力がもっと必要になっていきます。「働きやすい環境」の最適化を常にアップデートして、個の力を最大化できる会社であり続けるよう、トライ・アンド・エラーを繰り返していきたいと思います。

あとがき:常に時代の最先端をつくってきたリクルートですが、自社での働き方はまだまだ「昭和のままでは?」との疑問を持っていました。女性活躍の進んだ企業というイメージもありますが、3年ほど前に幹部の方を対象に講演したとき、「自分たちの会社は女性活躍が進んでいると思っていたが、実は1周遅れていたのかもしれない」との感想をいただきました。リクルートが働き方改革に着手した後、ある役職者の「会社に24年間いて今が一番働きやすい」という言葉を聞き、「本当にマインドが変わったのか?」と疑問に思い取材しました。今後さらに期待しています。

白河桃子
 少子化ジャーナリスト・作家。相模女子大客員教授。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員。東京生まれ、慶応義塾大学卒。著書に「『婚活』時代」(共著)、「妊活バイブル」(共著)、「『産む』と『働く』の教科書」(共著)など。「仕事、結婚、出産、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。最新刊は「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)。

(ライター 宮本恵理子)

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