平祐奈 8年愛用の筆箱、手放せない「兄のお下がり」
映画、ドラマ、CMなどで活躍し、平愛梨さんの妹としても知られる女優の平祐奈さん。彼女が「お気に入りのモノ」として持ってきてくれたのは、革製の筆箱だった。
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小学生の私には渋い感じだったけれど
「私には兄が4人いるんですけど、これは4番目の兄が、大学生のときに使っていたものなんです。大学を卒業するときに『使う?』と言ってくれたのが、私が小学6年生のとき。うれしかったですね。ウチは兄姉が多いけど、私は末っ子で年齢が離れている。姉(女優の平愛梨さん)とも14歳離れているので、あんまりお下がりをもらった経験がないんです。だからこれが、兄からもらった初めてのお下がり。すごくうれしかったのを覚えています。
お気に入りなのは、革製のところ。小学生の私にはすごく渋い感じだったんですけど、革は使えば使うほど、どんどん味が出てくるので愛着が湧きます。ちなみにこれは、おしゃれなサラリーマンの方がよくバッグを持っているイタリアの『HAKKIN.it』というブランドのもの。兄も、いろいろ見た上で、こだわって買ったみたいです。
コンパクトなところも好きですね。もともと私は、筆箱にいっぱい、いろいろ入れていたタイプなんですけど、そうすると重くなってしまう。この筆箱を使ってから、なんとかまとまるようになりました。
実はほかにも筆箱をもらうことがあって、そのたびに『あ、これもいいな』と思って使おうとしてきたんです。でも、いざ使おうとすると『やっぱり、こっちだな』と思って、なかなか変えられない。もう、使い続けて8年。学生の間は、ずっとこれを使っているんじゃないかなと思います」
現在、大学2年生の平さん。現役女子大生の筆箱の中身を見せてもらった。
「ペンは、多色ペンが多いです。あとは蛍光ペンも教科書やノートに使う必需品ですね。それから修正ペンに、印鑑。印鑑は、けっこう使うときがあるんです。解答を間違えたときに、二重線と一緒に印鑑を押したり。ファンの方にいただいたシャープペンやボールペンも大切に使わせていただいています。
消しゴムは、野口英世さんの消しゴム。今年のお正月に、両親と、福島県にある野口英世記念館に行ったんですよ。野口さんの人生をそこで学んで感動しました。お札になる人はやっぱりすごいな、と(笑)。その記念にこの消しゴムを買ったんです。『忍耐』と書いてあるので、勉強をがんばれそうじゃないですか(笑)。
私、文房具、大好きなんですよ。小さなときからロフトとかの文房具コーナーに行くのが好きで、『一日中でもいられる!』と思っていましたから。お金を持つと文房具ばっかり買っていたので、いつも親に怒られていました。『また買って! 必要ないでしょ!?』って(笑)」
「最近、よく買ってしまうのは、自分でカスタマイズできる(多機能)ペンです。中のインクの色や細さを変えられて、外側も種類がいっぱいあるので楽しい。細さですか? 私は0.4mmが好きです。
蛍光ペンは、三菱鉛筆の『プロパス・ウインドウ』がいちばん。ペン先に窓があるので、どこにラインを引いているのか、わかりやすいんですよ。最近は、付箋もいろいろありますよね。パンの形をしていたり『おいしい牛乳』の形をした付箋があったり。かわいくて勉強がはかどりそうな文房具がいっぱいあるから、文具コーナーに行くとあっという間に時間がたってしまいます」
仲間がいるから音楽は楽しい
大学では、日本の歴史や文化を学んでいるという。
「私は前々から神社巡りが好きだったので、日本の神社がなぜ生まれたのか、というようなことを学んでいます。神社が好きなのは、心が清らかになる気がするから。それに日本の文化にも興味があって、神社こそ日本で生まれた文化の一つなので、よく知っておきたいという気持ちが強いです。
好きな神社は、京都の貴船神社や車折神社。特に車折神社でまつられているのは、芸能の神様。お参りしてから、何か変わった気がしますね。一気に映画が7本決まったんです(笑)。やっぱり御利益があったのかなって思います」
車折神社の御利益があってか、2017年は9本もの映画に出演して話題になった平さん。18年も3月にヒロインを務めた青春映画『honey』が公開され、11月からは時代劇『立花登青春手控え3』(NHK BSプレミアム)が控える。また8月から東京国際フォーラムで行われる『ワンピース音宴(おとうたげ)イーストブルー編』の応援サポーターも務める。アニメ『ONE PIECE』の名場面をパフォーマーたちが再現、音楽を管打楽器で生演奏するミュージシャンたちとコラボレーションするという舞台だが、実は平さん、管楽器のトランペット経験者だ。
「といっても小学生の頃ですけど(笑)。ブラスバンド隊に入っていたんです。マーチとか、いろいろ吹いていましたけど、今はもう全然吹いていないので、指が動かないと思います。トランペットって一人で吹くのも楽しいけど、他にいろいろな仲間がいるのがいいんですよね。サックスやドラムが重なると、一体感ができてすてきな音楽が生まれる。
音楽は言葉を超えて、世界中の人を魅了することができる。『ワンピース音宴』にも、そういう魅力があると思います。アニメの『ONE PIECE』も、国境を越えて楽しまれている作品ですよね。私も女優としていつか、そんな作品に出合えたらいいなと思います」
成人したら飲んでみたいのは……
仕事に、学業に大忙しの平さんだが、彼女を支えてくれるのは、ファンや映画を見た人たちからの手紙だという。
「作品を見てくださった方から、お手紙をいただくことがあるんです。『映画を見て、勇気をもらいました』とか『あのセリフに背中を押してもらいました』とか。作品の内容によっては『不登校だった子が、学校に行けるようになりました』というようなお手紙をいただいたこともありました。『世のため人のために生きなさい』と母に教えられてきたので、そういうお手紙をいただくと、『私、人の役に立っているんだな』と思える。本当に活力になります。
映画の中のセリフが自分を励ましてくれることってありますよね。
私が特に印象に残っているセリフは、私も出演した映画『ReLIFE リライフ』で、中川大志くん演じる主人公が言っていた『今を大切に』という言葉です。普段、生きていることを当たり前のように感じているけど、いつ何時、何が起こるかわからない。今、この瞬間を大事に、悔いのないように生きなきゃいけない。あの作品に出演して、その言葉と出会ってから、そう思いながら生きるようになりました」
現在19歳。11月には20歳になる。成人したらやってみたいことを聞くと、意外な答えが返ってきた。
「ウチは親が決めたルールがあって、20歳になるまで炭酸飲料とコーヒーを飲めないんです。だから20歳になったら、まずは炭酸で乾杯したいです(笑)。お酒はあんまり飲みたいとは思わないんですけど、炭酸の、あのシュワシュワ感は気になります」
1998年生まれ、兵庫県出身。2011年、映画「奇跡」で女優デビュー。15年には「JR SKISKI」のイメージキャラクターに就任して注目を集めた。17年は映画「キセキ ―あの日のソビト―」「きょうのキラ君」「サクラダリセット前篇/後篇」「暗黒女子」「ReLIFE リライフ」「忍びの国」「写真甲子園」「未成年だけどコドモじゃない」と9本の作品に出演。8月12日~9月2日に東京国際フォーラム・ホールCにて行われる「ワンピース音宴(おとうたげ)」の応援サポーターも務める。
(文 泊貴洋、写真 藤本和史)
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