「賢く立ち回ろう」と、前川氏は勧める。例えば、部下が上司に反論したり、意見したりするようなケース。真っ正面からぶつかると、体面を保ちたい上司は硬直的に反応しがちだ。結果的に意見や提案は、はねつけられやすくなる。賢く進めるには、相談の頻度が重要だ。「相談力を高めるには、とにかく頻度を上げたい」(前川氏)。上司に頻繁に情報を提供し、こまめに軌道修正しながら、上司を巻き込んでいくと、正面からぶつかることはなくなる。上司を共同プランナーのような格好で巻き込んでいく戦術だ。

周囲を巻き込めば、救いの手も

上司以外の周囲を巻き込んでいく作戦も有効だ。同僚のネットワークをつくって自分の発言の重みを増したり、直属ではない上司の助言を得たりする取り組みを通して、影響力を高めていくと、話が通りやすくなる。ポイントは孤立しないことだ。同時に一度の「だめ出し」でへこたれない、メンタル面のタフさも大切になってくる。巻き込み力としたたかさを組み合わせた動き方が、前川氏の説く「賢い立ち回り」だ。

こうした立ち回りを可能にするには、普段から孤立せず、職場で応援してもらいやすい雰囲気づくりに努めるのが望ましい。日常的に仕事の進み具合やトラブルなどを周囲に明かしておけば、相談に乗ってもらう下地になる。社員が固定席を持たない「フリーアドレス制」や在宅勤務などのテレワークが徐々に広がる時代だからこそ、「自ら居場所を確保していく関係性づくりが求められる」(前川氏)。あうんの呼吸に頼らず、上司や同僚に積極的に話しかけていけば、いざというときに一肌脱いでもらいやすくなるという。

前川氏は、転職を安易にあおる風潮にも疑問を投げかける。勤め先を変えれば、悩み事がリセットされ、バラ色のキャリアが始まるかのように誘うエージェントもいるが、そうとは限らない。むしろ、「今の居場所で働きやすいフィールドの範囲を広げていく意味は大きい」とみる。

副業や転職も… 選択肢は幅広く

旧来の日本型雇用はルールの書き換えが進んでいる。終身雇用、年功序列といった約束事はほごになりつつある。ゲームチェンジに戸惑う働き手も少なくなさそうだが、前川氏は「頭を切り換えていくしかない」と、キャリア設計の見直しを促す。もはや誰もが管理職ポストをあてがわれる時代ではない。「人生100年、年金受給開始70歳」を視野に入れ、先々の転職・起業につながる「本気の副業」もキャリアプランに組み込むほうがよいともアドバイスする。

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