ミラ トコット かわいすぎない軽は売れるか?

日経トレンディネット

ツインカムDVVT3気筒12バルブエンジンを搭載し、JC08モード燃費は29.8km/Lをうたう

この軽量コンパクト性能でもって、空力デザインにはさほど気を使わずとも最高29.8km/LのJC08モード燃費を達成し、パワートレインは全車52psの直3ノンターボエンジン+CVTでありながらそれなりに走ります。

発進はCVTの常で、多少シャッキリしませんが、加速は自然でそのまま高速まで伸びます。ステアリングはベースのミラ イースより明らかに軽めでいかにも女性向け。それでいて直進性はそれなりにあります。

なによりいいのは一部車両を除き、ダイハツ自慢の最新型「スマートアシストIII」を標準装備することです。これはステレオカメラやソナーセンサーで車両や歩行者、障害物を認識し、時速4kmから警告や自動ブレーキをしてくれるもので、軽自動車ではトップレベルの先進安全機能。

既存のミラ ココアでは備えられなかった機能で、低燃費性能と併せて、トコットのアドバンテージ。今後、足代わりに軽を買う人にとっては一番の注目点でしょう。

トコットは価格的にも「自然体」を狙ったそうで、イマドキ普通に150万円を超えてくる軽ですが、前述の先進安全のスマアシIIIに、パノラマモニター、コーナーセンサーまで標準装備したフル仕様の「G“SA III”」グレードでも130万円を切るほか、スマアシIIIを付けたベーシックな「L“SA III”」は115万円切り。

最近「値段が高い高い」と不満の多い軽ユーザーの声を拾ったもので、不本意でしょうがスマアシIIIを省いた100万円台の「L」グレードまで用意。とはいえほとんど売れないでしょうけど。

ステレオカメラやソナーセンサーを備え、「スマートアシストIII」機能を装備

これが売れると少し流れが変わるかも?

正直、小沢的には今ひとつピンときてないミラ トコットのデザイン。かわいいのか、かわいくないのかハッキリしろと言いたくなる部分もありますが、聞けば聞くほど絶妙な出来ではありました。丸目ライトやメッキグリルなど、軽のティピカルな媚びる要素をひたすら削っていったようで、イマドキの女性タレントさんを見るような思いもあります。

実際、この子がなんでタレントなの? と思う人も多い今日このごろ。西山氏いわくタレントで言うと「CMでも起用した吉岡里帆さん」だそうで、ちょっとセクシー過ぎる気もしますが、確かにそういう距離感なんでしょう。

イケイケの時代ならクルマもタレントもカッコ良さであり、かわいらしさを一直線に目指したと思うのですが、そうもいかないのが人間社会の常。特に成熟期を迎え、気づかいを重んじる日本では、タレントも軽自動車もかわいすぎてはいけない時代なのです。そういう意味では、つくづく微妙です。

とはいえ意外と男性にも乗れる中性的デザインでもあります。最近、微妙に背の高い両側スライドドアの「ムーヴ キャンバス」などでニッチ商品をうまく当てているダイハツ。もしやコイツも当てるのか? そしたら日本の「かわいい軽」トレンドも少し変わっていくのかもしれない……そう思った今日このごろです。

商品企画室の西山枝里氏と平井伸明デザイナー
小沢コージ
自動車からスクーターから時計まで斬るバラエティー自動車ジャーナリスト。連載は日経トレンディネット「ビューティフルカー」のほか、『ベストカー』『時計Begin』『MonoMax』『夕刊フジ』『週刊プレイボーイ』、不定期で『carview!』『VividCar』などに寄稿。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)など。愛車はロールスロイス・コーニッシュクーペ、シティ・カブリオレなど。

[日経トレンディネット 2018年7月26日付の記事を再構成]

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