稲盛流で顧客も社員もワクワク KDDI社長の使命感KDDIの高橋誠社長(上)

「ライフデザインに進出したばかりの頃は、会社が通信から異業種にシフトするのではないかと社員も思っていた。ただKDDIはやっぱり通信会社で、センターにあるのは必ずお客様と通信です。通信が真ん中にあって、同心円状に周辺サービスを拡大していく。そのためには信頼できるネットワーク(通信網)をつくり続けないといけない。信頼してもらえる関係だからこそ、新しいビジネスも提案できます。5月に提携した動画配信大手の米ネットフリックスが当社をパートナーに選んだのも、モバイル通信のほか、光回線、ケーブルテレビ(ジュピターテレコム)まで持つ顧客とのネットワークに期待するからだと思っています」

大企業で新しいことをやる秘訣

――ネット通販や金融に強い楽天が2019年に携帯キャリア事業に参入します。焦りはありませんか。

業務提携した米ネットフリックスのプロダクト最高責任者のグレッグ・ピーターズ氏と(5月29日、東京都新宿区)

「もともとKDDIもNTTへの対抗軸として立ち上がった会社なので、競争がサービスをよくしていくのは確かだと思っています。全く逃げる必要はなく、しっかり準備していきます。我々の場合、スマホを買ってもらうことに始まり、お客さんとずっとつながっている。どれだけ深く付き合っているかによって、これからの陣取り合戦は決まっていきます」

「もともとKDDIは(楽曲をダウンロードして着信音にする)着うたの『リスモ』など、エンターテインメントに強かった会社です。改めてライフデザインにもう少しぬくもりを持たせるというか、楽しさを打ち出したい。世の中を少しでも楽しくしたいという思いから、『ワクワク』というスローガンを掲げたのです。お客さんの楽しさのポイントがモノ消費からコト消費に変わるなか、その流れを全て取りこむイメージを描いています」

――KDDIは社員3万8000人(グループ会社含む)を抱える大企業になりました。挑戦心は維持できますか。

「結局みんな大企業に入ると、自分の仕事ってここまでだよね、と割り切ってしまう。企業の論理であきらめてしまう人が多いのではないでしょうか。でも僕はKDDIという大企業においても、新しいことをやろうと思ったら結構な確率で実現してきました」

「社内で新規事業立ち上げの承認を得るために『タダだったら誰にでも頭を下げる』という気持ちは常に持ってきました。大企業では賛同者を増やすよりも、『反対しない人』を一人ずつ増やしていくことが重要なんですよ。上司に反対された時は何を言われても突き進むぞ、という覚悟を見せました。やりたいこと、実現したいことの方向性はずらさずに、プッシュしたり、引いてみたりね。それと、チームを率いるときは、理念をできるだけシンプルにして、何度も伝えることを重視してきました」

「大きな会社でも目指したいことさえ明確に持っていれば、実現できるということを伝えたい。大企業は新しいことに挑戦できる確率が低いと思われがちですが、大企業だからこそ自社のアセット(基盤)を利用すれば、ものすごい規模の仕事ができると思いますよ」

高橋誠
1984年横浜国立大学工学部金属工学科卒、京セラ入社。同年、第二電電入社。2003年KDDI執行役員。07年取締役執行役員常務。16年代表取締役執行役員副社長。18年4月代表取締役社長。

(河野真央)

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