名門「灘」校長らが語る 子の学ぶ力育てる3つの動機

日経DUAL

また感染動機を考える場合、親としては良い影響を与えたいと考えて、様々な偉人の物語に触れさせたくなってしまうが、「宇宙飛行士を見てあんなふうになりたいと思うのも感染動機の一つとして良いのですが、もっと身近にいるお父さんやお母さんを見て、僕も、ああいうふうになりたいなとか、学校の先生を見てあんなふうになりたいなといった、身近な人物に影響を受けることでもいいんです」(和田校長)と指摘。

最終的には3つの動機が複雑に重なり合って、頑張っていこうという気持ちにつなげていってほしいと話しました。

SAPIX YOZEMI GROUPの高宮敏郎共同代表

嫌がることを無理やりさせても、ダメ

灘中、灘高校の出身のパズルデザイナーでLLP ASOBIDEAの代表を務める山田力志氏は、京都大学に進学し、京都大学院で博士号を取得したという経歴の持ち主。一方で山田氏はパズル好きが高じてパズルデザイナーになったという、好奇心が強いからこその遊びの追求から、現在の姿があると感じさせてくれます。

「パズルは遊びの中でも算数につながっていると考える方は多いと思いますが、実はもっと、様々な学びにつながっていると私は思っているんです。ただそれは、突き詰め方にもよると思います。結局、どの遊びも突き詰めていくことで、いろんな学びにつながっていくのではないでしょうか」(山田氏)。「遊び」は楽しいものですし、楽しいからこそ「もっと」と追求できる。遊びを学びにつなげることは、つまりワクワクする感覚を持ったまま何かを追求しやすくなるということでもあるでしょう。それはつまり好奇心を高めることになります。

和田校長は「好奇心そのものもそうですし、まずは個性を大事にすることを大切にしていただければ」と言います。

子どもの好奇心を高めようと考えて、あちこち連れ回したり、推薦図書をやたらと与えたり、実験キットを与えたりしても、本人が興味を持たなければ、一瞬は興味を持っても追求する気持ちは育たないでしょう。「嫌がることを無理やりさせても、ダメなんですね。したいことを伸ばしていく。そこからいろんな学問にもつながっていくわけです。本人のしたいこと、あるいは、個性をうまく伸ばしていくことで、勉強にもつながっていくんじゃないかなと思います」(和田校長)

また山田氏は「僕自身はコンピューターを駆使していますが、パズルなど好きなものがあったからこそ、使えるようになった面があります。ですから好きなものがあればぜひ伸ばしていただきたい。好きなものの歴史を学べば、そこからまた関心も広がりますし、将棋なら理系脳だけでなく漢字を学べる面もあります。広げ方は子どもによって千差万別です」と子どもの「好き」を伸ばしてほしいと言います。

親には「好きなもので遊んでばかり」に見えることも、探究心を育てるのには必要な時間。無理強いせずに、子どもの好奇心を高めていけるように、個性を見極めることが大切なようです。

灘中学校・高等学校の和田孫博校長とLLP ASOBIDEAの山田力志代表

(構成・文 山田真弓=日経DUAL編集部、取材協力 ダヴィンチ☆マスターズ、人物撮影 高木秀明)

※2018年4月22日に開催された「ダヴィンチ☆マスターズ」の特別講演会「子どもの好奇心の伸ばし方」を基に構成。

[日経DUAL 2018年6月18日付記事を再構成]

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