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インドの茶畑で野性のゾウ突進 追い払うのは命がけ

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/8/10

ナショナルジオグラフィック日本版

 インドでは、人とゾウのいさかいは珍しくはない。何千年もの間、共生してきたとはいえ、人がゾウに近づき過ぎるのはやはり危険だ。2018年6月29日にインド南部ムンナル近郊の茶畑で撮影された動画を見ると、そのことを再確認できる。

 映像提供者によれば、ゾウ使いの男性と小さなゾウが茶畑で作業していると、別の大きなゾウが1頭近づいてきたという。この野生のゾウは、過去にも攻撃的な行動をとったことで住民によく知られる存在だという。

 動画では、ゾウ使いの友人の男性が、野生のゾウの背後にまわり、声を出して茶畑から追い払おうとしている。すると突然、ゾウが振り返り、男性を追いかけ始めた。幸い、ゾウは途中で足を滑らせて転倒。その間に、男性はゾウから逃げおおせて事なきを得た。

 人とゾウが衝突するときは、たいてい緊張状態にある。今回のように、ゾウも人もけがをしなかったのは幸運だ。インド北東部のある州では、2006~2016年に、ゾウが800人の命を奪ったというインド政府の統計がある。別の政府の報告では、インドでは平均1日1人が、トラかゾウに殺されているというデータもある。

 人とゾウの接触は、起こるべくして起こっている。インドの世帯の多くが小規模農業を営み、ゾウのほうは森林伐採や開発で生息地を奪われているからだ。国際連合食糧農業機関(FAO)の報告には、「インドの非都市部で暮らす世帯の70%が農業で生計を立て、82%が小規模農家で、生活するのがやっとという状況だ」とある。

 アジアゾウの生息地の大部分が、開発や生息地の分断の影響を受けているとの研究結果もある。国際自然保護連合(IUCN)はアジアゾウを絶滅危惧種(Endangered)に指定しており、過去3世代で個体数が50%以上減少している。

 

(日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2018年7月11日付記事を再構成]

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