リクルートが取り組む働き方改革の概要(図:リクルートホールディングス提供)

白河 もともとは女性のための支援策だったけれど、さらに対象が広がってきたということですね。

二葉 はい。子育てや介護、治療に時間を割く必要がある社員の自主性を解放させていく目的が一つ。もうひとつの意義として最近特に重みを増しているのが、やはり「イノベーションの創出」です。

リクルートの社員は仕事に熱心なので、集中するあまり外の世界に触れる時間が限られてしまうことがあります。さらに本来は効率化できるはずの定型業務に追われているパターンも多い。より生産性を高めるための手段として、リモートワーク導入の試みが始まりました。

ただし、これは全社一斉に普及させているというより、事業会社の特性やカルチャーによって運用はそれぞれに任せています。手段が目的化しては意味がないという考えから、実施率をモニタリングするようなこともしていません。

白河 リモートワークが特に進んでいるのは、ゼクシィやカーセンサーなどの事業を手がける、リクルートマーケティングパートナーズ(RMP)と聞いています。導入から4カ月後にオフィスを訪問したとき、フロア面積がすでに4分の1にまで縮小されていて「うわぁ、これは本気だな」と感じたのを覚えています。

二葉 そのRMPのオフィスは18年5月に東京都品川区へ移転しました。そこではカフェスペースを充実させたり、松岡正剛さんの編集工学研究所と共に製作した本棚を配置したりと、より魅力的で居心地のいい環境づくりに力点を置いています。

チームの情報共有はオンラインで

白河 リモートワーク成功に不可欠なのはコミュニケーション手段をうまく機能させることだと思いますが、どのような方法を?

二葉 やはりチャットツールをいかに浸透させるかは重要ですね。当社の場合はマイクロソフトの「Teams(チームス)」を全社向けに開放していますが、組織によってうまく使えるチームと使えないチームと温度差が出ます。エンジニアが多いチームは「Slack(スラック)」のほうを好む傾向がありますね。

こういった新しいコミュニケーションツールを浸透させるにはポイントが2つあって、一つはメンバー自身が活用するメリットを納得して、自分から発信できるよう促すこと。もうひとつは、その場所が「安全である」という信頼を上司側から演出すること。一番ダメなのは、「人事が決めたことだからきょうから使って」と投げるだけというパターンです。

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