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女性軽視の教室、口火切り発言 スーザン・ファーさん 米ハーバード大学教授(折れないキャリア)

2018/8/4 日本経済新聞 朝刊

「女性の意見は軽視されがち」。大学の教室で、男子学生の発表には目線や相づちが集まるのに、同じ内容でも女子学生は正当な評価を得られない。そのうえ反応の悪さに自信を失い、ますます発言しにくくなる悪循環を招くと指摘する。

Susan Pharr 米コロンビア大で政治学博士号。ハーバード大教授で日米関係プログラム所長を務める。74歳。

自身も学生時代にこの壁にぶち当たった。米国の教室では議論への参加が重視されるが、手を挙げても発言の機会は得にくく、競争の激しいコロンビア大で学ぶ困難を感じていた。「女の子として、幼いころから他人の話を邪魔しないようにしつけられてきた」のも不利に働いたという。

相談した教授から得た助言が「いつも真っ先に質問する」こと。まさに口火を切って機先を制す。英語で「break the ice(氷を砕く)」。話を切り出して場の空気を和ませる意味だが、自分自身の気持ちもほぐれてその後の議論にも積極的に入っていけるようになったという。

男女の違いが表れにくそうにみえる米国の研究者の世界だが「女性がチャンスを得にくい男社会」と明かす。教授職を務めるハーバード大では社会的性差を問わず平等を実現するための委員会の責任者として女子学生らに助言し、新しいポストへの採用の際は、必ず1人以上の女性の候補者を面接するようにするなどの改革を行った。

米国を代表する日本研究者として日本女性の社会進出も見つめてきた。1978年開催の日本の国際女性学会(現・国際ジェンダー学会)の第1回国際大会にも参加した。「霞が関の官庁街に保育施設ができるとは、40年前には想像もできなかった」と現在の女性らの活躍ぶりに目を細める。

諸外国と比べ、日本では政治やビジネスの世界に女性リーダーの割合が低いなどの課題はあるが「将来はとても楽観的にみている」。女性の教育水準が高いのが日本の強みといい、若い女子学生には特に英語とハイテク技術をしっかり学ぶよう促している。

東京や京都で暮らした経験もあるが、日本との出合いは「全くの偶然」だった。ニューヨークで政治学を専攻していた大学院生時代、ポスターで見た柔道教室に参加して、日本人留学生やすしなどの日本食に親しんだことをきっかけに、日本を研究のフィールドにした。3年続けた柔道の腕は「からっきし」と笑う。

(聞き手は 木寺もも子)

[日本経済新聞朝刊2018年7月30日付]

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