フルーツや氷、動物にも注意 海外旅行の感染症対策Dr.今村の「感染症ココがポイント!」

日経Gooday

ワクチンで防げる感染症については、早めに接種しておくといいでしょう。例えば、衛生状態の悪い地域で感染のリスクが高いA型肝炎は、かつては日本でも流行していたので高齢の方の多くは抗体を持っていますが、若い人は感染のリスクがあります。A型肝炎ワクチンは、2~4週間の間隔で2回の接種が必要です。さらに、半年後に3回目を接種すると免疫が強化されて、5年間は有効とされています。

麻疹や風疹なども、これまでかかったことがない人や、予防接種の回数が1回以下の人は、免疫がないか不十分なので、やはり渡航の2~4週間以上前にMR(麻疹風疹混合)ワクチンを接種しておくといいでしょう(どんな人が予防接種が必要かについての詳細は「はしか流行 感染を防ぐには予防接種が必須」参照)。

予防接種はワクチンの種類によって、必要な回数や間隔が異なります。また、黄熱が流行しているアフリカや南米の熱帯地域では、入国の際などに英文の予防接種証明書の提示を求められる場合があるので、医療機関に発行してもらう必要があります。渡航先の感染症に関する情報は、なるべく早めに確認して、余裕を持って準備をするようにしてください。

――予防接種を受けたい場合は、どうしたらよいでしょうか。

海外渡航者を対象としたトラベルクリニックや、感染症科などの渡航感染症を扱っている医療機関を受診して相談します。FORTHのサイトのトップページにある「海外渡航者向けの予防接種実施機関(検索)」でも全国の医療機関を検索できるので、お住まいの都道府県や受けたいワクチンなどの条件を選択して調べてみるといいでしょう。

飲料水だけでなく、氷やサラダにもリスクが

――渡航先で感染を防ぐためには、どのような注意が必要でしょうか。

それにはまず、主な感染の原因を知っておくことです。感染の主な経路は、次の3つに分けられます。

【病原体に汚染された飲み水や食べ物による感染】
A型肝炎、赤痢、コレラ、腸チフスなど

【蚊やダニなどを介しての感染】
「蚊」…デング熱、ジカウイルス感染症、マラリア、黄熱など
「ダニ」…ダニ媒介性脳炎、ライム病、ツツガムシ病など

【動物を介しての感染】
「ラクダ」…中東呼吸器症候群(MERS)
「犬、コウモリ、アライグマなど」…狂犬病
「ニワトリ」…鳥インフルエンザ

――なるほど、感染の原因によって、必要な対策も違ってきますね。

その通りです。A型肝炎や赤痢、コレラなど飲み水や食べ物による感染を防ぐには、衛生状態の悪い地域では、生水や生ものは口にしないようにします。

衛生状態の悪い地域では、氷やカットフルーツ、サラダにも注意しましょう。写真はイメージ=(c)Anna Pustynnikova-123RF

ただ、飲料水に気をつけていても、感染するケースがあります。例えば、汚染された水道水で氷を作っていたり、野菜やフルーツを洗っていたりすると、氷やサラダ、カットフルーツなどを口にすることでも感染するリスクがあります。

また、アジア地域では屋台を訪れるのも旅の楽しみの一つかもしれませんが、屋台は店舗とは衛生環境が異なるので、十分注意が必要です。特に、肉や魚介類は、しっかり加熱されたものを食べるようにしてください。

虫よけ剤は、効力の高いものを選ぶ

――蚊やダニによる感染対策はいかがでしょうか。

蚊やダニが多い場所に行く場合は、長袖シャツと長ズボンを着用するなど、できるだけ肌の露出を少なくしましょう。また、蚊が媒介するデング熱やジカウイルス感染症を防ぐには防除用医薬品の虫よけ剤(忌避剤)が有効です。日本国内で販売されている虫よけ剤は、主成分がディートのものと、イカリジンのものの2種類があります。

デング熱は日本国内でも2014年に、東京の代々木公園を中心に流行したのを覚えている人も多いでしょう。日本ではそれを契機に、効力の高いディート30%やイカリジン15%の虫よけ剤が承認、販売されました。いずれも約6時間程度の効力が持続しますが、ディート30%の製品は12歳未満には使用しないよう推奨されているので、お子さんがいる場合はイカリジン15%の製品を選ぶといいでしょう(「蚊の虫よけ剤、濃度で違う プロが教える賢い使い分け」参照)。ただし、効力が長く持続するといっても、汗をかいたり水に濡れたりした場合は、つけ直す必要があります。

いずれにしても、虫よけ剤は製品の使用上の注意に明記されている対象害虫や成分、用法などを確認してから購入・使用するようにしてください。

――野生動物や鳥などを介しての感染を防ぐためには、どのような注意が必要でしょう。

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