「時には感情的に」 褒めて叱って横浜市長の指導術横浜市の林文子市長

――市役所ではどのように職員のモチベーションを高めたのですか。

「行政の仕事は結果が出るまでものすごく時間がかかり、数字の評価がしにくい。行政の仕事はチームです。その中で何が楽しいかと言ったら人間関係です。だから上司と部下の関係をもっと楽しみましょうと言い続けています」

「清らかな野心」を持て

男女が等しくいい仕事ができる環境をつくりたい

「私はまず自分の近くにいる人たちに伝えています。褒めて厳しくして、時には感情を出します。腹が立ったら、わーっと言っちゃいます。言った後はいい気持ちではありませんが、この人はこういうことに対して嫌な気持ちがするんだと理解することは大事だと思うのです」

「上司が全力を尽くして部下を育てていれば数年後に必ずいい形で表れます。私も民間でリーダーだった時に感情むき出しになってしまい、若い男性社員と殴り合いになりそうになったこともあります。羽交い締めにされたりなんかして(笑)。でも本当に私は相手の中に入り込もうとしていたので、当時の部下は今でも私を『社長』と慕ってくれます。すごくうれしいことです」

――市役所でも効果は出ていますか。

「係長試験の受験率が上がりました。この試験に合格しないと、区長や局長、部長などに昇進するチャンスがほぼありません。私が就任した09年度は女性の受験率が6%、男性でも24.7%でした。恐らく係長の仕事は忙しすぎて割に合わないと思われていたんでしょう。これが17年度は女性が20.7%、男性は57%にも達しました」

「私はね、職員には『清らかな野心』を持ってもらいたい。私は持っていますよ。野心とは、こういう仕事がしたい、自分はこうなりたいという気持ち。でもそれは清らかでなくてはいけない。人のためになる、損得ではないということです。この数字は職員が上司になることや仕事に希望を持ち、清らかな野心を持ってくれたのだと思います」

「行政の仕事は長期的で目立たないですが、振り返ったら結果が出ている。例えば横浜市の17年の観光消費額は12年比1.8倍の3557億円で過去最高になりました。こういうことに使命感と喜びを感じ、生き生きと仕事ができるところが市役所じゃないでしょうか。職員にこの仕事をしていて幸せだと思ってもらえるようなリーダーシップを発揮したいです」

――さらなる将来の夢や目標をお聞かせください。

「私自身がいろんな道筋を歩いてきて、今、女性たちにエールを送れる。政策でも女性活躍をもっともっと推進できる立場になりました。男性に対しても働き方改革で、もっと環境を良くしたい。男女が等しくいい仕事ができる環境づくりが大きな夢です」

「市長の仕事はまだまだやることがある。基礎自治体から日本経済をよくするということを実証したい。他の自治体や様々な企業、団体などと手を携えて協力していくことが、大きな展開になるんだとお見せしたいのです。これが一番の夢ですね」

林文子
1965年東京都立青山高校卒。東洋レーヨン(現東レ)入社。77年ホンダの販社に入社し、1年目から売り上げトップに。87年ビー・エム・ダブリュー(BMW)東京事業部(現BMW東京)に転職。99年ファーレン東京(現フォルクスワーゲンジャパン販売)社長。BMW東京社長、ダイエー会長などを歴任し、2009年から横浜市長。

(杉垣裕子)

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