夏に注意したいのが熱中症。環境省主催「平成30年度熱中症対策シンポジウム」より、日本インナービューティーダイエット協会インナービューティープランナーの管理栄養士・小川昭子さんの「熱中症を予防する食事のとり方」のお話を紹介しよう。
糖質と併せてビタミンB1をとる
暑くなると食欲が落ちるもの。しかし食事をきちんととらないと、夏バテを起こしてしまう。「夏バテで体力が落ちると熱中症にもなりやすくなります。食事や睡眠がしっかりとれていれば、重度の熱中症になることはほとんどありません」と小川さんは話す。特に、食が細くなりがちな高齢者は意識してバランスよくしっかり食べることが必要。必要な栄養素をきちんととって夏バテを防ぐことは、熱中症予防にもつながる。
特に意識してとりたいのはビタミンB1だ。夏はどうしてもサッパリとした麺類や冷たい飲み物に偏りがちになってしまうが、これらは糖質の多い食品。糖質は大切なエネルギー源だが、「ビタミンB1を一緒にとらないと糖質をうまくエネルギーに変えることができず、夏バテしやすくなってしまう」(小川さん)。糖質と併せてビタミンB1をしっかりとることで、基礎体力を維持しよう。

ビタミンB1は、豚肉、ウナギ、玄米、大豆、そら豆、モロヘイヤなどに多く含まれる。より効果的なのはB1の吸収を良くするアリシンと一緒にとること。アリシンとは、ニンニク、ネギ、ニラなどに含まれるイオウ化合物で、調理するときはすりおろしたり細かく刻んだりしたほうがいい。刻んだネギを載せた冷ややっこや、豚肉とニラの炒め物などなら、ビタミンB1とアリシンを同時にとれて一石二鳥だ。
効率よくB1をとるため、野菜をぬか漬けにするという方法もある。ぬかに豊富に含まれるB1が野菜に吸収され、B1を気軽にとることができるうえ、腸内環境を整え、免疫力をアップさせる植物性乳酸菌も一緒にとれる。また、「主食を白米から玄米に替えるのもお勧めです」と小川さん。『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』によると、玄米には白米の8倍のB1、7倍のマグネシウム、4.7倍の食物繊維が含まれている。
色とりどりの野菜で抗酸化物質もとる
紫外線も夏バテの一因となり得る。というのも、紫外線が肌に当たると体内で活性酸素が発生するからだ。ご存じの通り、活性酸素は細胞を傷つけ(酸化)、老化の大きな原因といわれる。さらに「FF(Fatigue Factor)」というたんぱく質を発生させ、肉体的疲労と精神的疲労の両方を増加させる。紫外線が強くなる夏は、いつも以上に抗酸化物質を多くとって体の酸化と疲労物質FFの発生を食い止めなければいけない。