スウェーデンでは辛口系や生もと・山廃仕込み系が人気

人気の銘柄は「弥右衛門」(福島/大和川酒造店)のような芳醇(ほうじゅん)で骨格のしっかりとした酒や、「一ノ蔵 無鑑査本醸造超辛口」(宮城県/一ノ蔵)などの辛口系の酒、「玉乃光 純米吟醸CLASSIC」(京都府/玉乃光酒造)など伝統製法で仕上げた力強い味わいの生(き)もと・山廃仕込み系の酒だ。

国に関係なく、エグゼクティブ層に広く人気の酒としては「長良川 T-406」(岐阜県/小町酒造)や、「一ノ蔵 濃醇熟成酒 招膳」「Madena」(宮城県/一ノ蔵)といった古酒という比較的新しいジャンルの酒だ。食通が多いエグゼクティブ層は料理とのペアリングを考えて、大吟醸より辛口でコクのあるお酒を選ぶ傾向が強いという。さらに濃厚で複雑な味わいや香りが広がる古酒に興味津々なのだ。

エクゼクティブには濃厚な味わいの古酒も評価が高い

外国人に大人気とされる華やかな吟醸香の日本酒や、コンペティションでの優勝銘柄などは富裕層の間では、すでに浸透しているケースも多い。このため、新しいジャンルの古酒の方に関心が向きやすい。ウイスキーやワインも年代物は高級品であるように、日本酒の古酒に対しても同じ価値観を持っているようだ。

また世界のセレブの間では日本酒のぬる燗(かん)・熱燗(あつかん)も人気が高い。ドイツやフランス、スイスには冬の定番として、スパイシーでほんのり甘いグリューワイン(ホットワイン)を飲む習慣があるが、グリューワインと比較しながら日本酒のぬる燗・熱燗を楽しむ富裕層もいる。

驚くのはオーストラリアの超富裕層だ。リゾート地としても知られるアデレードには、地元の名士だけが集う超富裕層限定の会員制クラブがある。「ここの会員は年収3000万円は珍しくなく、年収1億円以上の会員も多数います」と舘谷さんは語る。地元の名士だけが集う超富裕層限定のダイニングバーに、日本酒を輸出している。

中でも人気なのが日本酒スパークリング。「菊泉ひとすじ」(埼玉県/滝澤酒造)はシャンパンと同じ機械をフランスからわざわざ輸入して、シャンパンと同じように製造された瓶内二次発酵の透明な強炭酸スパークリングだ。「富裕層はやはり『本物』や『一流』が大好きですね」(同)。

ハレの日に泡酒を飲む習慣は世界共通で、日本酒のスパークリングという意外性で注目を集めており、欧州でも人気だという。