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女性管理職が語る

「開発者思考」のキャリア作り 次の挑戦はESG経営 積水ハウスCSR部長 小谷美樹氏

2018/7/12

小谷美樹・積水ハウスCSR部長

管理職として活躍する女性が仕事やプライベート、働き方への思いを自らつづるコラム「女性管理職が語る」を連載します。管理職として活躍する女性が仕事やプライベート、働き方への思いを自らつづるコラム「女性管理職が語る」。女性管理職が交代で執筆します。今回は、積水ハウスCSR部長の小谷美樹氏。2017年12月、今年3月に続いて3回目の登場です。

◇  ◇  ◇

より重要な仕事を任されると、うれしくなってやる気が出るのは、30年前の入社当時と変わりません。当時の設計課では、上司の設計長は雲の上の存在でした。結婚で転勤した技術本部では、鉄骨や内装など技術分野ごとの管理職がいて、責任感と自信にあふれていました。

技術の管理職が専門分野を生かして社内外に対応している様子を見て、良い住宅を創ろうと技術開発することが、社会の課題の解決につながっているのだと思うようになりました。

そして私にもそのチャンスが巡ってきました。建築技能職の将来的な高齢化が予想されるなか、2008年の課長時代に内装下地の施工の省力化や業務効率化を実現するという課題に取り組むことになったのです。

その名も「内装新工法」。これまで、工法ごとに異なった構成だった住宅の部屋の仕切り(間仕切り)を統一して合理化し、壁自体を収納にするなど付加価値も生み出しました。

そしてこれが設計から工場生産、建設現場、アフターサービスとバリューチェーンをITで一元化する「邸情報システム」の構築に貢献しました。このシステムは生産性向上と働き方改革の両面で当社の強みになっています。まさに「管理職冥利」に尽きる仕事だったと言えます。

次には営業現場の技術系の管理職として、女性で2人目の設計長に就きました。さらに約2年後に新たなミッションとして、経営企画部ダイバーシティ推進室で、女性技術者の活躍推進を進める仕事を任されます。事務系の管理職になりましたが、「開発者魂」は変わりません。

経済産業省の「次期女性リーダー育成研修」(略称WIL)に参加した時、経済産業省の方から「製造業はモノを開発しているが、官僚は研究を重ねて法律を開発している」という話をうかがいました。

私の設計や研究開発での経験が、会社の制度やルールづくりの役に立つのだということが「開発」という言葉で1つになりました。

以前の上司が話していた「技術者は雪だるま」という言葉も思い出します。

技術者は転がれば転がるほど知識や技術が身につくという意味です。私がいま思うのは、技術者に限定しなくても、入社時からスタートしたキャリアは雪だるまだということです。

様々な役目を任されるなかで、転がるほど経験ができ、次のチャレンジにも意欲的になり、会社人生が豊かになります。今年4月からは「CSR部長」を拝命しました。今度はESG経営を推進するのが使命です。

E(環境)、S(社会性向上)、G(ガバナンス)の3つを通じて企業の価値を向上させ、持続的な社会の形成と、さらなる企業の成長につなげる。環境は技術本部時代の研究開発、社会性向上はダイバーシティ推進や働き方改革の経験が生かせます。

そして新たにガバナンス改革にも挑戦していきます。これまでのミッションのように、これからも様々な役割を担いながら、事業を通して社会に貢献していこうと思っています。

こたに・みき
1988年積水ハウス入社。住宅設計などを担当。92年に1級建築士の資格取得。2004年開発部課長、14年経営企画部ダイバーシティ推進室部長、18年CSR部長。

[日経産業新聞朝刊2018年7月5日付]

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