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なやみのとびら、著名人が解決!

妻の怒りの爆発は避けられますか? 作家、石田衣良さん

2018/7/12

作家。東京都生まれ。2003年「4TEENフォーティーン」で直木賞。石田衣良のブックサロン「世界はフィクションでできている」主催(https://yakan-hiko.com/meeting/ishidaira/top.html)

妻が突然怒り出す時があります。何がきっかけか分かりません。始まると2時間でも3時間でも続きます。私は一切反論せず、収まるまで堪えるのみ。怒り出すのは月に1度くらい。どうすれば爆発を避けられますか。(大阪府・男性・50代)

最近、突然切れる人が増えていますね。街角で、お店やデパートで、電車のなかで、公園やイベントの会場で。いきなり切れて、周囲がなにひとつ目に入らなくなっている人をよく見かけます。どうでもいいことを繰り返し叫ぶ、怒りに乗っとられてしまった人たちです。

その手の“突発性憤激症候群”は、男女年齢を問わず日本中で広まっています。残念ながら、あなたの奥さんも、その病にかかってしまっているようですね。人がなぜ怒るか、いつ怒りだすかは正直誰にもわかりません。ある種の人は周期的に怒りのエネルギーをためこみ、家族や友人には察しようもないタイミングで激怒するのです。

今回、怒りをとめられない40代女性、自分の非は絶対認めず妻の間違いに烈火のごとく怒る50代男性、それにあなたと3通も同工異曲の相談が寄せられています。きっと日本人の多くがなんらかの生きづらさを抱え、怒りを抑えられないのでしょう。しんどい時代になりました。

さて、どうすれば怒りの爆発を避けられるかとありますが、それは基本的に不可能です。激怒する人は激怒する。理由などわからないし、予防しようもない。それが現実です。では、他者の憤激にどう対処するか。

まず、怒っている相手を理性的な説得が通用する人間だと思うのをやめましょう。ぼくは人間は自然の一部だと考えています。ハワイで火山が噴火した。爆弾低気圧がやってきた。地震が起きた。自然災害はすべて人の手にはおえないものです。人間も同じく、生きたまま火山や嵐や地震になることがある。自然の一部ならあたりまえです。

妻や夫の怒りも同じ。溶岩が流れてくるのなら、噴火の理由はなにか、どう溶岩流をとめるかではなく、安全な場所に避難するのが先です。どうせ怒りはそう長くは続きません。

怒りの発作に見舞われた人など、相手にするだけ無駄なこと。さっさと距離をおき、過度な影響を避けましょう。まともに反応するほど、怒りに火を注ぐのは目に見えています。

いっしょに暮らしている夫婦でさえ、明日のお天気と同じで心模様がわからないのは普通のことです。連れあいは鳥の目で見る。それくらいのおおらかな気もちで、妻の怒りの噴火をやりすごしてください。

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[NIKKEIプラス1 2018年7月7日付]

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