だめ人事評価が社員を腐らす 目標に「努力」はご法度あしたのチーム 高橋恭介会長に聞く

トップから部門長、直属の上司、そして本人へと目標をブレークダウンしていく。そして従業員は自分の業務に即した具体的な行動目標を書き込み、それを上司や部門長が方向性・難易度を含め精査する。高橋氏は「今のように価値観が多様化し、変化の激しい時代はすべての産業がサービス産業化し、従来以上に個人が能力を発揮することが求められる」と、自分のこととして目標を立てることの意義を強調する。

評価は四半期ごと、手間を惜しまない

「人事評価の重要性をトップが認識してほしい」と語る

2つ目のポイントは人事評価を四半期ごとに実施すること。上場、非上場にかかわらず、多くの会社は四半期ベースで決算を集計するようになった。会社の目標と個人の目標を連動させるなら、期間も合わせた方がよいというわけだ。目標を立て、実行し、評価して、次の目標に生かす。「そのサイクルは短い方が、個人の成長を早く促せるし、間違った方向に進んでいる場合の修正もしやすい」

ちなみに同社が推奨するのは相対評価でなく、絶対評価。自分の目標を達成すれば、他者の成果に関係なく評価されるので、納得感を得やすいからだ。絶対評価の場合、全員の評価が良すぎて昇給の原資を上回る可能性もあるが、高橋氏は「会社と個人の目標が連動していれば収益も伸びるはずなので、大きな誤差は生じにくい」と説明する。

ただ、人事評価を緻密にやろうとすると、当然、手間もかかる。そこで3番目のポイントとなるのが、人事評価の重要性を会社のトップがきちんと認識することだ。バブル崩壊以降、日本企業は組織のスリム化にまい進し、管理職にも現場の第一線で仕事をさせる「プレーイングマネジャー」を量産してきた。一人二役は生産性向上の観点から望ましいという見方も根強くある。

これに対し、高橋氏は真っ向から反論する。「部下の人事評価は上司にとって最大の仕事といっても過言ではない。コストカットの名の下に、本来必要なマネジメント業務まで削るのは本末転倒だ」。人事評価に必要な経費や時間はコストでなく投資であると発想を転換する。それが遠回りのようにみえて、実は生産性向上への近道だと説く。

「人事評価の一連のプロセス自体が人材教育にもなる」。同社の常務取締役CTO(最高技術責任者)である林田幸一氏はこう指摘する。従業員は会社の方針を正しく理解し、そこから自分の職務に照らし合わせて行動目標を考え、文章にする能力が求められる。上司にとっては部下のやる気を引き出すために、コーチングやフィードバックのスキルを磨くことになる。同社は評価システムを定着させるため、従業員が書いた目標の添削指導まで請け負うという。

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