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週末レシピ ラタトゥイユはごった煮じゃなくお煮しめ

イタリアにも夏野菜を使った、似たような料理がある=PIXTA

夏野菜を使った煮込み料理という点は両者とも同じ。ただ、カポナータは、ナスを一度オリーブ油で揚げ、いためたタマネギ、セロリ、トマト、そしてオリーブ、ケッパーと合わせて白ワインビネガー、塩、砂糖で軽く煮込んでからバジルをちらす。

大きな違いは、ナスを揚げることと、酢と砂糖を加える点だ。これにより、ラタトゥイユが野菜そのものの味がベースなのに比べ、カポナータは甘酸っぱい味に仕上がる。ともあれ、どちらも元々は地中海地方でよく食べられていた郷土料理が、今やフランス全土、イタリア全土で好まれる家庭の味となったのだ。

最初に、フランスの「お袋の味」と記したが、「家庭の味」としておいた方がよいかもしれない。

以前、パリのアパートに引っ越した際、大家さんのお宅に招待していただいた。ご主人はフランス人、奥さんはオランダ人だったので、オランダ料理ってどんなのかなあ、と思いをはせつつ出向いたところ、料理をしてくれたのはご主人で、その間、奥さんは食前酒のスパークリングワイン飲み、ピクルスやサラミなどつまみながら私の話し相手になってくれていた。

何もこの家庭に限ったことではなく、共働き率の高いフランスでは男性が家事全般、炊事や育児をすることも稀ではない。なので「お袋の味」と言ってしまうと、「いやいやウチではお袋ではなく、親父の味だ」っとなりかねない。

ちなみにその日に出されたメイン料理は、レモン風味に蒸した白身魚に、付け合わせとしてラタトゥイユが添えられていた。ここでは大きめに野菜をざく切りした、まさに家庭のラタトゥイユだった。

フランスの総菜店やビストロではこのざく切りスタイルが主流。ちょっと高級なレストランでは、もう少し上品さを出している。以前、私が働いていたフランスの店では、野菜をさいの目くらいの小さな角切りサイズに切りそろえ、型取りしたものが、肉や魚料理に添え提供されていた。

密閉容器に入れ冷蔵庫で保存すれば数日は日持ちがするし、主菜にも副菜にもなるのでお役立ちメニューだ。また冷やしたままの状態で小皿に盛ってクラッカーなどを添えれば、つまみとしてもおいしい。

私の持論だが、冷たいラタトゥイユには、キリッと冷えたビールや白のスパークリング、温かいラタトゥイユには、軽めの赤ワインが合う。そして両方に合うのはロゼワインだ。この夏の晩酌には、ワインが増えるかな。

(世界料理探究家 T.O.ジャスミン)

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