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日本の海洋プラごみ、世界の27倍 EUが使用規制案

2018/7/3

東京・荒川の河岸にあふれたプラスチックごみ(2016年5月撮影、東京農工大の高田秀重教授提供)

 世界でプラスチック製品の使用を減らそうとする動きが広がっています。欧州連合(EU)は5月、ストローなどに用いる使い捨てプラスチックを禁じる規制案を加盟国に示しました。家庭からオフィスまで現代生活に最も身近といえる素材に、何が起きているのでしょうか。

 まず問題視されているのが海の汚染です。ポイ捨てをはじめ海に捨てられるプラスチックは世界で年800万トンと、500ミリリットル入りのペットボトル換算で3200億本分と推計されています。こうしたごみが日光や潮流によって砕かれ、細かな粒となって海を漂っているのです。

 大きさが5ミリメートル以下のプラの粒は「マイクロプラスチック」といわれ、魚などによる摂取が確認されています。魚を食べる私たちの体にも入っている可能性がありますが、人への影響はよく分かっていません。東京農工大の高田秀重教授は「プラごみに付着した有害物質などの人体への影響が懸念されている」と話しています。

 汚染は海の隅々まで広がっています。海洋研究開発機構は、太平洋のマリアナ海溝1万メートルの深さにプラ製の袋が存在する映像をウェブサイトで公開しています。研究員の千葉早苗氏は「深海に達したプラは回収できず、生態系を取り戻すのに長い時間がかかる」と警告します。

 日本の汚染が特に深刻だとする研究結果もあります。九州大の磯辺篤彦教授の調査では、日本の周辺海域のマイクロプラの濃度は世界平均の27倍に達しました。日本を含むアジアでのプラごみの発生量が多いことが要因とみられています。

 実はEUがプラスチック製品の規制に動いた理由はもう一つあります。世界のプラごみの半分を受け入れてきた中国が1月から、国内の環境問題を重視して輸入を禁じたのです。プラごみの処理を中国に委ねていたEUなどではリサイクルが滞り、ごみの総量を減らそうとする流れになったのです。

 日本もプラごみを中国に輸出していましたが、今のところ輸出先をほかのアジア諸国に切り替えることなどで急場をしのいでいるようです。ただし今後は受け入れの増えた東南アジアも輸入制限に動く可能性があります。東アジア・アセアン経済研究センターの小島道一シニア・エコノミストは「国内外でリサイクル施設への投資を進める必要がある」と話しています。

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