「土用の丑」は肉を売れ 常識破りにスーパーの活路経営コンサルタント 竹内謙礼(2)

土用の丑の日にうなぎではなく豚肉を売る。いつの時代も常識を疑う売り方には勇気がいる
土用の丑の日にうなぎではなく豚肉を売る。 いつの時代も常識を疑う売り方には勇気がいる

日経MJの人気コラム「竹内謙礼の顧客をキャッチ」が『200社に足を運んでわかったお客さんがホイホイ集まる法則』(日本経済新聞出版社)のタイトルで1冊の本になりました。5年間250回にわたる連載の中から、一押しのノウハウ50の事例を選び、再取材の上、大幅加筆してまとめたものです。その50の事例から、10例を抜粋して紹介します。2回目は、豚ばら肉を蒲焼きにして売り上げを10倍に伸ばしたスーパーです。

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世の中で常識と思われていることには、必ずマーケットが存在している。例えば、「夏にかき氷が売れる」という事実は、暑い日には冷たいものが欲しくなるという常識から生まれる消費だ。また、「父の日にネクタイが売れる」というのも、ネクタイが常識的なギフト品として認知されているからこそ存在しているマーケットだ。このように世の中の常識に従って販促を行えば、マーケットは確保されているため、売上を伸ばすことができる。

しかし、近年、常識に従っているだけではモノが売れない時代になってきている。不安定な経済動向によって、これまでなら常識的に購入するはずだった商品を躊躇する消費者が増えているのである。代替品や類似品をネットで簡単に購入できるようになり、以前よりも消費者の嗜好性が分散していることも、「常識マーケット」が縮小している要因といえるだろう。

もう1つ常識のマーケットが縮小している理由は、常識に沿ったビジネスでは必ず競争が激しくなり、厳しい商売を強いられてしまうという点である。常識のマーケットはライバルが多く存在し、価格や広告によるコスト競争を余儀なくされてしまう。ここにネット販売も参入してくるため、薄利多売の商売に勝てる企業でなければ生き残ることが厳しくなってしまうのである。もはやパワーゲームになりつつある小売業の世界では、常識に従った売り方を続けていること自体に無理が生じ始めているのだ。

常識に頼った商売が通用しなくなった今、私たち商売人は、モノを売るために世の中の常識を疑う視点を持たなくてはならない。

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