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業種別にみると、騒音にさらされる可能性が高かったのは、鉱業(61%)、建設業(51%)、製造業(47%)、電力などの公益事業(43%)などに従事する人でした。

難聴者の割合が最低だったのは金融業/保険業の人だったため、この集団を参照にしたところ、鉱業に従事している人の難聴リスクは2.50倍、公益事業は1.94倍、製造業は1.72倍でした。

難聴のリスクは騒音の程度が上昇するにつれて高くなっていました。また、「騒音あり」の環境で働いていた人たちに占める高血圧患者の割合は、「騒音なし」の環境で働いていた人たちの1.16倍で、同様にコレステロール上昇者の割合も1.10倍になっていました。一方で、冠動脈疾患または脳卒中の患者の割合は同様でした。

得られたデータに基づいて、「職場の騒音がなければ発症しなかったと推定される患者の割合」を求めたところ、難聴患者では58%、高血圧患者では14%、コレステロール上昇患者では9%になりました。

最後に、対象者全体を、難聴の有無と、職場が「騒音あり」環境か「騒音なし」環境かに基づいて4群に分け、高血圧、コレステロール上昇、冠動脈疾患/脳卒中のリスクを推定しました(下表参照)。その結果、難聴ではないが「騒音あり」環境で働いていた人も、高血圧とコレステロール上昇のリスクが高いことが示されました(冠動脈疾患/脳卒中のリスクも上昇していましたが、統計学的に意義のある差ではありませんでした)。

(データ出典:Kerns E, et al. Am J Ind Med. 2018 Jun;61(6):477-491.)

今回の研究は、職場の騒音を減らすことが、難聴のみならず、高血圧やコレステロール上昇の予防においても重要であることを示唆しています。

論文は、2018年3月14日付のAmerican Journal of Industrial Medicine誌電子版[注1]に掲載されています。

[注1] Kerns E, et al. Am J Ind Med. 2018 Jun;61(6):477-491. doi: 10.1002/ajim.22833. Epub 2018 Mar 14.

大西淳子
 医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

[日経Gooday2018年6月20日付記事を再構成]

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