先ほどの例だと、もしメッセージが「A国の新車販売台数は過去20年間減少傾向にあったが直近の3年間は微増している。新型車の投入と国内景気の回復が背景にあり、今後もA国では販売台数増加が見込める」となっていたら、すっと頭に入ってこないですよね。現状、原因、展望と3つの情報が詰め込まれているからです。この場合はチャートを分けるべきでしょう。

「何やらごちゃごちゃ書いてあるけれども、結局何が言いたいのかよく分からない」というチャートはメッセージが2つ以上含まれてしまっている場合が多く、せっかく中身のあるはずの情報も、伝えたいメッセージが分散していることで見る人は混乱してしまうのです。「言いたいことを1つに絞る」つまり「ワンチャート・ワンメッセージ」を徹底してシンプルにすることで、初めてクライアントの心に届くメッセージとなるのです。

お笑いのネタでもプレゼン資料でもいろいろ考えついたり調べたりしたことをつい詰め込みがちですが、お笑い養成所でもマッキンゼーでも、見ている人の心をパッとつかむためには、相手に極力頭を使わせないこと、そのためにはこれ以上ないというくらいシンプルにするように、という教えはまさに共通のものでした。

さて、結局このコラムもごちゃごちゃ言っていて何が言いたいのか分からない、という声が聞こえてきそうですが、伝えたいことはただ1つ「伝えたいことを1つにすること」です。(つづく)

石井てる美
1983年生まれ、東京都出身。白百合学園中学校・高等学校から東京大学文科三類に入学。工学部社会基盤学科卒、東大大学院修了後、2008年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社、お笑いタレントを志して09年夏に退社。TOEIC990点(満点)、英語検定1級取得。現在、ワタナベエンターテインメント所属のお笑いタレントとして活動中。

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