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生きた筋肉使うロボット、指の動き再現 東大チーム

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/7/8

ナショナルジオグラフィック日本版

 東京大学の研究チームが、ロボット工学にラットの筋肉組織を用いる新しい手法を開発した。ロボット工学の専門誌『Science Robotics』に発表された論文によると、この「バイオハイブリッド」ロボットは人間の指の見た目と動きを模している。動画では、ロボットが関節を曲げ、輪を引っ掛けて持ち上げ、下に置く様子を見ることができる。一見、簡単そうな動作だが、より進んだ、生物に近いロボットを作るための基礎になると研究者らは言う。

 論文を執筆した東京大学生産技術研究所教授の竹内昌治氏は、「1つの装置にもっと多くの筋肉を組み込めるようになれば、手や腕などの筋肉の複雑な相互作用と機能を再現することができるでしょう」と言う。「まだ予備的な成果しか出ていませんが、私たちのアプローチは、より複雑なバイオハイブリッド系の構築に向けた大きな一歩になる可能性があります」

 研究グループが生きた筋肉組織に注目するようになったのは、プラスチックや金属では動作や柔軟性に限界があったからだ。彼らはロボットの骨格の上にラットの筋芽細胞を含むヒドロゲルシートの層を重ねて筋肉組織を培養した。成長した筋肉組織を電流で刺激すると、収縮させることができる(生きた組織を使うため、このロボットは液体の中でないと生きて機能することができない)。

 竹内氏は、以前にもロボットに生きた組織を用いる研究をしていたが、使っているうちに筋肉が萎縮して機能しなくなってしまうという問題に直面していた。そこで今回は、拮抗筋の構造を模して、互いに平行になった一対の筋肉組織を作った。

 拮抗筋とは、上腕二頭筋と上腕三頭筋のように、一方が収縮すると他方が伸長する一対の筋肉のこと。対にすることで、ロボットの筋肉組織の萎縮を防止し、より長期間使えるようになる。最新の試験では1週間強も使うことができたという。

 研究チームは、筋肉駆動式ロボットは、将来的には、より敏しょうに動く義肢を作るのに役立つと考えている。また、薬物や毒物の試験にも利用できるようになり、動物実験の必要性を減らせる可能性があるという。

(日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2018年6月1日付記事を再構成]

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